1999 Fiscal Year Annual Research Report
氷期・間氷期サイクルの気候変化・海面変化による河岸段丘の形成過程の解明-最終氷期後半と後氷期における河床縦断面形の定量的解析-
Project/Area Number |
10780067
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Research Institution | The Museum of Nature and Human Activities, Hyogo |
Principal Investigator |
加藤 茂弘 兵庫県立人と自然の博物館, 地球科学研究部, 研究員 (50301809)
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Keywords | 河岸段丘 / 段丘面の対比と編年 / 気候変化 / 海面変化 / 最終氷期 / 後氷期 / 河床縦断面形 |
Research Abstract |
北海道日高地方の8河川(鵡川・沙流川・新冠川・静内川・三石川・鳧舞川・元浦川・日高幌別川)で,最終間氷期(約12-13万年前)以降に形成された河岸段丘面を,火山灰編年学と地形学的手法に基づいて,M1面(形成期は約12-13万年前),M2面(9-10万年前),L1面群(約4-6万年前),L2面群(約1-2万年前),F面群(1万年前以降)に分類・区分した.次に,これら段丘面の地形的特徴を整理して地形分類基準とし,北海道東部の渚滑川・湧別川,関東地方の荒川・久慈川,近畿地方の宮川に分布する段丘面群の地形分類と対比・編年を,空中写真判読・現地調査により行った.下流域で沖積層下に埋没している段丘面は,ボーリング資料を用いて抽出した.その結果、これら流域でも日高地方の段丘面区分と編年が適用でき,気候変化と海面変化に伴う段丘形成モデルが多くの流域で成立することが,改めて確認された. 以上13流域と,北海道東部の十勝川・関東地方の多摩川・相模川,中部地方の豊川,近畿地方の由良川の計18流域で,各段丘面と現河床の縦断面投影図を作成してべき関数近似を行い,その乗数値から氷期・後氷期における河床縦断面形の曲率変化を検討した.最終氷期後半のL2面群から復元された河床縦断面形の乗数値は,現河床縦断形の乗数値に対して20-50%の減少を示し,河床縦断面形の氷期の直線化と後氷期の曲率増大が示された.この減少率は,これまでに推定された最終氷期後半における降水量の減少率と類似する.しかし,関数近似の際に基準点をどこに取るかで乗数値が異なるなど,近似手法についての課題が残された.
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