Research Abstract |
本研究では,衣服の快適性要因の一つである圧迫感の心理モデルを検討し,ファウンデーションガーメントの快適性を客観的に評価する手法の確立を目的とした。本研究の特徴は,着衣着体である体型特徴と圧迫感の関係について論じていることである。 まず,体型を表す量的変数としてマルチン計測法による人体データを因子分析した。その結果,周長方向と長さ方向の2つの因子によって体型情報が集約でき,周長方向の特徴量として「ヒップ/ウェスト」比,長さ方向の特徴量として「ミドルヒップ〜ヒップ/ウェスト〜ヒップ」比の2変量でクラスター分析を行い,台形型(2グループ)と長方形型(1グループ)に分類した。次に,これら分類したグループにおいて,圧迫感の心理的構造が異なるか否かについて,主観的評価法である間隔系列法を用いて検討した。まず,着心地評価の特徴としてハードタイプ,ソフトタイプともにフィット感が高く評価された。これは日常ガードルを着用しない被験者がほとんどだったことが原因である。また,ハードタイプに比べてソフトタイプでは圧迫感が小さく,伸び感が大きく評価された。このように,習慣や素材特性により着心地に影響が現れると考えられる。更に,姿勢による圧迫感の部位別評価では,各グループともハードタイプで常に大腿部を高く評価しているが,姿勢により腹部・下腹部・臀部の評価に変動が大きく,グループ間,特に台形型と長方形型では評価が異なることが明らかになった。次に,圧迫感と衣服圧の関連性を検討したところ,圧迫感を高く評価している部位に必ずしも高い圧力が発生していない。これは,圧迫感が単に圧力の強弱だけで判断されたのではなく,人体の構成要素にも関係があると考えられる。本研究では,台形型グループに比べて長方形型グループは,全体的に高い衣服圧が生じており,圧迫感も高い範疇で評価している。ただし,圧迫感は人間の感覚であり,また点では評価しにくいため,衣服圧測定のように点計測のデータとの整合性には疑問が残る。
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