1998 Fiscal Year Annual Research Report
四国地方におけるネットワーク居住の成立形態と住機能の再編成
Project/Area Number |
10780073
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
金 貞均 鳴門教育大学, 学校教育学部, 助教授 (10301318)
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Keywords | 分散居住 / ネットワーク居住 / ライフスタイル / 家族意識範囲 / 地域性 / 中間拠点 |
Research Abstract |
本研究は四国地方の都市及び農山漁村地域を対象に、家族の分散状況及び親族や地域との居住関係網(ネットワーク居住)の形成実態を明らかにし、地域性を考慮した居住のあり方を提案することを目的とする。 空間的に離散した家族をネットワークとして相互に関連づけるシステムは高齢化社会に示唆する点が多く、その解明は社会的要請に応えるものである。今年度は徳島県の3地域(徳島市・佐那河内村・神山町)を対象に、郵送によるアンケート調査(190部回収/400部配布、回収率47.5%、有効率71.6%)を実施し、高齢者世帯を中心に分析を行った。以下、結果を述べる。1)高齢者世帯率:3地域での高齢者世帯率は、県全体のとほぼ似た結果となった。なお、神山町における高齢単身世帯率は非常に高く、山村地域の高齢化が浮き彫りになった。2)住宅状況・住生活:高齢者世帯の居住する住宅は築年数が古い戸建持家が殆どで、「段差・浴槽・廊下・トイレ」などに不満を持ち、改造を望んでいる。3)ネットワーク居住の成立形態:高齢者を取り巻く「関係範囲(家族・親族・近隣・地域施設)」×「関係内容」を分析した結果、徳島市は「子世帯相互援助型」、「子世帯一方向援助型」、佐那河内村では「子世帯相互援助型」、「子世帯一方向援助型」及び「近隣相互援助型」、神山町においては「近隣相互援助型」、「親族相互援助型」が主に見られ、地域性として捉えることができた。3地域を通して地域施設との関係は希薄であり、充分機能していないことが分かった。4)地域への定住志向:殆どの世帯が住み慣れた地域で住み続けたいと希望している。以上の分析結果から、(1)高齢者の自立を支える住宅造りや住宅改造のための公的援助制度の充実化、(2)必要・状況によって再編成を繰り返すネットワーク居住のあり方を考えていく上で、「動かない」一つの拠点として地域施設の役割、という2つの点が地域居住を支える重要な課題であると考える。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 金 貞均: "日本におけるネットワーク居住の成立とその役割" 第2回アジアの建築交流国際シンポジウム論文集. 417-420 (1998)
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[Publications] 金 貞均: "ネットワーク居住の成立形態と地域性" 日本建築学会大会学術講演梗概集. F-1. 1115-1116 (1998)
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[Publications] 金 貞均: "地方都市におけるネットワーク居住の成立構造と地域性" 日本家政学会中国・四国支部研究発表要旨集. 31 (1998)