1998 Fiscal Year Annual Research Report
新規ビタミンD受容体遺伝子多型を用いた思春期からの早期骨粗鬆症予防法の確立
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10780084
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
久保田 恵 岡山県立大学, 保健福祉学部・栄養学科, 助手 (80254564)
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Keywords | 骨粗鬆症 / 健常成人日本人女性 / ビタミンD受容体(VDR)遺伝子多型 / 遺伝因子 / 環境因子 |
Research Abstract |
【目的】骨密度規定因子は、大きく遺伝因子と環境因子とに分けられる。そこでVDR遺伝子M多型を用いて骨密度と骨代謝マーカー及び食生活等との関連性を比較し、日本人における骨粗鬆症の遺伝素因マーカーとしての有用性を検討した。 【対象と方法】20-86歳の健常成人女性250名を対象とした。更に、50組の親子間で遺伝子多型一致率を検討した。VDR遺伝子多型は末梢血白血球よりDNAを抽出、PCRで増幅後制限酵素FokIで切断し、MM,Mm,mmの3型に分類した。腰椎骨密度(DXA法)と体組成(BIA法)を測定した。骨代謝マーカーとしてALPIII型活性、TR-ACP活性を測定し、食事状況・生活スタイル等は質問紙により調査した。 【結果】(1)対象のVDR遺伝子多型頻度はMM型12.4%、Mm型54.8%、mm型32.8%であり、未閉経群はMM型17人、Mm型78人、mm型52人、閉経群はMM型14人、Mm型59人、mm型30人であった。(2)腰椎骨密度は未閉経群はmm型>Mm型>MM型の順で有意に高く(p<0.01)、閉経群でもmm型>MM型(p<0.05)であった。(3)MM型の骨密度は未閉経群では牛乳摂取量(小学)と、閉経群は体重・LBM・牛乳摂取量(中学・成人)と正相関であった。Mm型では未閉経群は牛乳摂取量(高校)と正相関、閉経群では体重・体脂肪率・LBM・Ca摂取量と正の、年齢・ALPIII型活性と負の相関があった。mm型では未閉経群は、体重・体脂肪率と正相関、閉経群では体重・LBM・体脂肪率・LBMと正の、年齢・ALPIII型活性と負の相関が見られた。(4)親子間のVDR遺伝子多型一致率は、M多型(91.5%)は従来のBsmI多型(85.1%)より高い一致率であった。 よって遺伝素因リスクの高いMM型では、過去の牛乳摂取頻度との関連が高いことから、早期にスクリーニングを実施し、適切な栄養指導を行うことは骨粗鬆症の予防に有効であると考えられる。また、M多型を用いることで、親のVDR遺伝子型から子供のVDR遺伝子型の予測が可能であることが示唆された。
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