1998 Fiscal Year Annual Research Report
生体膜の酸化ストレスに対する多価不飽和リン脂質の抗酸化的効果
Project/Area Number |
10780085
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
新井 博文 山口県立大学, 生活科学部, 助手 (70295848)
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Keywords | プラズマローゲン / リポソーム / 酸化 |
Research Abstract |
1. プラズマローゲン型リン脂質(PLO)の合成 多価不飽和脂肪酸(PUFA)導入に先立ち、ステアリン酸のコリンプラズマローゲンへの導入法について検討した。サケ白子から抽出した総脂質からカラムクロマトグラフィーによってリン脂質を精製した。これを弱アルカリ分解し、stearoy1imidazolideを導入した。分取用TLCを用いてプラズマローゲンを精製し、分析用TLCおよびガスクロマトグラフィー(GC)によって純度を調べた。TLCおよびGCの測定結果から、得られた試料がコリンプラズマローゲンであり、ステアリン酸の導入率は85%であった。 平成11年度では合成法を改良し、不純物の除去を行う。また、リポソーム調製に必要な量のDHA導入PLOを合成する。得られたPLOを用いてリポソーム形成条件及び酸化条件の検討を行う。 2. PLOの酸化安定性 生体内脂質におけるPLOの酸化抵抗性について検討した。Wistar系雄ラットに魚油トリアシルグリセロール(TG)及びPLOを投与し、血漿成分の変化を測定した。血漿中の過酸化脂質濃度は対照群に比して魚油TG群及びPLO群の両方で有意に増加したが、PLO群は魚油TG群に比して低い値を示した。ビタミンE濃度は対照群に比して魚油TG群では有意に減少したが、PLO群では維持された。さらに、血漿中の酸化タンパク質は対照に比べてPLO群で減少する傾向にあった。PLOの摂取が生体内酸素ストレスに対する抵抗性を高める可能性が示唆された。
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