1998 Fiscal Year Annual Research Report
発酵食品製造に利用される微生物の耐塩性機構の分子生物学的研究
Project/Area Number |
10780091
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Research Institution | Niigata Women's College |
Principal Investigator |
鈴木 裕行 県立新潟女子短期大学, 生活科学科, 助教授 (10235997)
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Keywords | salt tolerance / Zygosaccharomyces rouxii / expression cloning |
Research Abstract |
日本の伝統的な大豆発酵食品である味噌・醤油には、その独特の風味形成に麹菌以外のいわゆる耐塩性酵母(Zygosaccharomyces rouxii等)の関与が不可欠である。本研究では醸造用耐塩性酵母の特性である抗浸透圧性に着目し、この形質に関与する可能性のある遺伝子発現を解析し、原因遺伝子をクローニングすること、ならびに単離された遺伝子を各種の醸造関連微生物に導入し、新菌種育種の基礎を築くことを目的としている。 平成10年度においては実験に供する耐塩性酵母菌株の基本的な性状の確認,耐塩性遺伝子の発現クローニングならびに醸造関連微生物への遺伝子導入の基礎的条件の検討を行った。実験には赤色系辛味噌実用株として醸造に用いられているzygosaccharomyces rouxii S-96株およびS2-B株を用い、これらの菌株の耐塩性と2M NaCl存在下でのpH依存性を調べたところ、S-96株はS2-B株よりも生育至適pH幅が広く、耐塩性も高いことが確認された。また、耐塩性発現の生化学的な指標とされるグリセロール蓄積もS-96株に顕著に見られた。そこで、S-96株のgenornic DNAを制限酵素により部分切断し、これをYeast発現ベクターに結合して遺伝子ライブラリーを作製した。このライブラリーDNAをエレクトロポーレーション法により遺伝子導入条件を検討した非耐塩性の酵母Saccharamyces cerevisiae AB-1380株等に導入して高塩濃度培地に播き陽性コロニーのスクリーニングを現在継続している。
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