1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10780097
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
銀島 文 金沢大学, 教育学部, 講師 (30293327)
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Keywords | 数学教育 / 数感覚 / ナンバーセンス / 記述枠組み / 数 / 演算 |
Research Abstract |
今年度はまず、小学校・低学年において事例の収集を行った。具体的には、金沢大学教育学部附属小学校・2年1組において、「2位数のたし算」の授業(計19時間)を参観し、子どもの活動を観察した。また「2位数のたし算」の学習後に筆記調査およびインタビュー調査を実施した。その際特に、児童の数や計算に対する意識やインフォーマルな知識、児童が用いた計算方法、児童の学習に対する姿勢と教師の支援の在り方との関連などに焦点を当てて調査を実施した。その結果、子どもたちは、教師により計算方法を教えられなくとも自身で計算のやり方を創り出していけることが観察された。また、自分自身で方法を探求したり、計算の意味を考えたりすることの重要性を理解することが、その後の学習の進み方に対して極めて重要な意味を持つ可能性があること、さらには、それらの態度の育成には、教師の関わり方が極めて大きく関与する可能性があることが観察された。また、学校で教えられる計算のアルゴリズムが、子どもの数の理解を促進する場合と、悪影響を及ぼす場合とが観察された。 上記の事例収集・分析と平行して、主として先行研究をもとに、数概念の発達の様相や位取り記数法の理解、筆算形式の学習、計算の学習におけるアルゴリズムの影響、暗算指導の在り方などに関して考察を進めた。また同時に、今後ますます情報化が進む中での計算指導の在り方、さらには子どもたちに育成すべき数感覚に関して考察を進めた。 次年度は引き続き事例の収集を行い、同時に数感覚の記述枠組みを用いてそれらの事例を分析し、記述枠組みの情緻化を行う。なお事例の収集に際し、設定する課題に関しても十分に検討を加え、子どもの数感覚が観察しやすい課題設定となるよう配慮する。
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