1998 Fiscal Year Annual Research Report
精神薄弱養護学校幼稚部における逆統合保育に関する研究
Project/Area Number |
10780124
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
京林 由季子 宇都宮大学, 教育学部, 講師 (20234396)
|
Keywords | 統合保育 / 逆統合保育 / 知的障害養護学校幼稚部 / 精神薄弱養護学校幼稚部 / 障害幼児 / 健常幼児 / 相互交渉 / 連絡帳 |
Research Abstract |
本研究は、O知的障害養護学校幼稚部にいて実践されている逆統合保育に参加している統合幼児(健常幼児)の在籍幼児(障害幼児)に対する意識と態度について明らかにすることを目的に計画された。 1. 課題場面における統合幼児と在籍幼児の相互交渉の特徴とその変化については、統合幼児1名と在籍幼児1名を1組とし計2組を分析対象とし、数種類の遊具を準備した室内で"いっしょに遊ぶように"指示しその様子をVTR録画した。統合幼児から在籍幼児への働きかけは初期から後期になるとその頻度が増え、その形式も指さし、マニュアルガイダンス等を組み合わせた複合型に移行し、相手の状況に応じて工夫している様子が見られた。しかし、両者で"いっしょに遊ぶ"行動は持続されやすいものではなく、統合幼児の働きかけに対する在籍幼児の応答性の低さや遅れ、統合幼児の在籍幼児に動機づけを高めるよう働きかける機能がまだ未熟であること等が関連するものと推察された。 2. 統合幼児の障害幼児に対する日常的な場面における意識と態度について明らかにするために、1の統合幼児2名の連絡帳から、幼稚部での活動及び幼稚部幼児(統合幼児、在籍幼児)に関する記述を収集した。その結果、自由遊び場面でいっしょに遊ぶことの少ない在籍幼児に関する肯定的記述が次第に見られるようになった。 それらは、集まりや設定保育、給食場面での在籍幼児の行動の評価から生じているものであり、このような構造化された指導の場があることが、統合幼児にとって、自由遊びだけでは関心の対象から外れやすい在籍幼児1人1人の行動に目を向け仲間意識を持つ上で必要であることが示唆された。 本年度の成果は、99年日本特殊教育学会、宇都宮大学教育学部実践教育センター紀要に投稿予定である。
|