1998 Fiscal Year Annual Research Report
Quality of Life (QOL)データの統計解析
Project/Area Number |
10780146
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松山 裕 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (20282618)
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Keywords | 欠測値 / 補完 / バイアス |
Research Abstract |
欠測値を伴うデータの解析手法の一つである、multiple imputation法に注目し、シミュレーション実験、及びケース・コントロールデータへの解析に応用した。 ケース・コントロール研究のような疫学デザインから選られるデータには、欠測値は不可避である。そのようなデータを解析する際には、通常、欠測値のない対象者のみを解析対象とした分析法が用いられる(complete-case analysis)。この方法はほとんどの統計解析パッケージが採用している方法であるが、完全なデータを有する対象者は元の母集団からのバイアスのあるサンプルである場合が多く、そのような場合には通常の解析結果には偏りが生じる。Multipleimputation法により欠測値を補完し、バイアスの少ない結果を得ることができる。このような解析は通常の解析結果の感度解析と位置づけることもできる。 Multiple imputation法による補完にはいくつかの方法が考えられるが、統計パッケージSOLASが採用しているノンパラメトリックなApproximate Bayesian bootstrap法を採用した。この方法は、データが欠測する確率(propensity scoreの一種)を個人ごとに推定し、その確率がほぼ等しい(欠測値のない)対象者のデータから復元抽出で補完データをサンプリングする方法である。この手法は、特に、標準誤差の推定において適切に誤差を考慮した方法であり、通常のパラメトリックな補完方法よりもモデルの前提がなく、得られる結果がロバストであることをシミュレーション実験により確認した。
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