1998 Fiscal Year Annual Research Report
並列計算機による高精度数学定数の高速計算法に関する研究
Project/Area Number |
10780166
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 大介 東京大学, 大型計算機センター, 助手 (00292714)
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Keywords | 多倍長計算 / 並列計算機 / 高速フーリエ変換 / 数学定数 |
Research Abstract |
本研究の目的は,数学定数をできるだけ正確に求めるために,多倍長計算を並列計算機で実行するためのアルゴリズムの確立および実際に計算して得られた数学定数の乱数性の検定が挙げられる.今までに逐次計算機およびベクトル計算機において,多倍長計算を行うアルゴリズムおよびプログラムが多く提案されている. しかし,逐次計算機およびベクトル計算機の単一プロセッサーの性能は,近年限界に近付いてきており,これらに代わる計算機として,最近は並列計算機が主流になりつつある. 並列計算機を用いて多倍長計算を行うことにより,計算時間を大幅に短縮することができると期待される.さらに,分散メモリ型並列計算機はベクトル計算機に比べて主記憶容量を大きくできるので,計算可能な桁数を増やすことも可能である.このように,並列計算機による多倍長計算は大きなメリットがあるにも関わらず,まだ研究は十分行われていないのが現状である. したがって本研究では,並列計算機に適合した高速多倍長計算のアルゴリズムの研究を行った. 多倍長計算においては,乗算をいかに高速に計算するかが鍵となる.これを高速に計算するアルゴリズムとして,高速フーリエ変換(FFT)を用いる方法が知られている.この場合,FFTの処理が実行時間の大部分を占めることから,FFTを並列計算機上で効率良く行うアルゴリズムについても研究を行っている. これらの研究成果をもとに,Daisuke Takahashi,Yasumasa Kanada:Fast High-PrecisionArithmetic on Distributed Memory Parallel Machines,In Proc.Ninth SIAM Conference onPara11el Processing for Scientific Computing,(to appear)にまとめ,発表を予定している.
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