1999 Fiscal Year Annual Research Report
輻輳状態にあるATMネットワークにおけるIP/ATM通信の特性に関する研究
Project/Area Number |
10780186
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
石橋 勇人 大阪市立大学, 学術情報総合センター, 講師 (70212925)
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Keywords | ATM / TCP / IP / スループット / 輻輳 / CBR |
Research Abstract |
本研究は,数年前より大学や企業においてさかんに導入されたATM(非同期通信モード)を使用したネットワークにおいてIP(インターネットプロトコル)による通信が示すスループット特性を実際の実験に基づいて解析することを目的としている.本研究が解析の対象とするのは,特に条件が厳しい,ATMネットワークの輻輳下におけるIP/ATM(ATMネットワーク上でのIP通信の方式)通信の特性である. 本研究では,ATMトラフィックジェネレータを用いて通信回線上にCBRによる負荷を発生させ,同じ通信路上に1対のPCを用いてIPによるトラフィックを流した際のスループット特性を測定する実験を行った.次に,そこで得られた結果からATMレベルでの輻輳が生じた際のTCP/IPによる通信の特性について解析を試みた. PC上のOSとしてはFreeBSDを使用し,米国ENI社製のATM NIC(Network Interface Card)を用いて155.52Mbps(OC-3c)でATM交換機に接続している.ATM交換機としては,富士通社製EA1550を使用した. 実験では,特にIP/ATMのMTUサイズ,ソケットバッファサイズ(ウインドウサイズ),ATM交換機のセルバッファサイズと,CBRトラフィックの占有する帯域幅との関連に着目し,それぞれをのパラメータを可変したときの特性について詳細に測定した. この結果,ソケットバッファサイズがある大きさ以下の場合にはCBRトラフィックの帯域幅によらずTCP/IPの輻輳制御が効果的に動作するが,ある大きさ以上になるとごくわずかのCBRトラフィックによって甚大な性能低下をきたし,スループットが0に近くなることがわかった.実験結果の解析の結果,この原因は複数のパケット損失によってTCP/IPの高速再送/回復アルゴリズムが機能せず,デッドロック状態が生じるためであることを結論づけた.また,各パラメータの間の関係について定量化を行った.
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