1998 Fiscal Year Annual Research Report
仮想実験環境における定性推論の技法を用いた誤りの可視化とその制御
Project/Area Number |
10780234
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Research Institution | 神戸商船大学 |
Principal Investigator |
堀口 知也 神戸商船大学, 商船学部, 講師 (00294257)
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Keywords | 教育支援システム / シミュレーション環境 / 可視化 / 動機づけ / 力学 / 定性推論 / 認知実験 / 運動視覚 |
Research Abstract |
力学の問題において,学習者の有する誤った物理概念を反映した挙動シミュレーションを生成・提示できる環境を,パーソナルコンピュータ上に実装した.これは,学習者が立てた任意の(誤りを含む)運動方程式に対し,それを規則として物体が振る舞う仮想環境を生成するものであり,通常のシミュレータ(単一の正しい規則に従う)に比べると,柔軟性に富み,様々な教授戦略を実施する能力を持つ.シミュレーションは,正しい方程式に基づくもの(Normal Simulation:NS)と,学習者の(誤った)方程式に基づくもの(Error-Based Simulation:以下EBS)とが同時に提示され,学習者の誤りは,両者の差異として認識される. その上で,生成されるEBSが誤りの可視化に適するかどうかを判断するため,NSとEBSの振る舞いを定性的に解析・比較するメカニズムを,定性推論の技法を用いて実装した.具体的には,KuipersのQSIMを用いて定性シミュレーションを行い,導出された定性的振る舞いの系列(正しい方程式に基づくものと学習者の方程式に基づくもの)を比較して,差異を発見するという手続きを踏む.定性差が発見されれば,そのEBSは効果を持つものとして提示され,そうでない場合には,提示は行われない. このような制御を行うEBS制御システムを,C言語を用いてパーソナルコンピュータ上に実装し,その効果を確認するため,いくつかの例題を用いて実験を行った.10名程度の被験者に,本システムを用いて生成・提示された各種のEBSを見てもらい,それがシステムの意図通りの効果を持つかどうかの意見聴取を行ったところ,良好な結果が得られ,システムの有効性が確認された. 次年度は,本システムでは考慮しなかった種類の定性差を扱うべく機能を拡張し,その有効性を確認する予定である.
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[Publications] T.Hirashima,et al.: "Error-Visualization by Error-Based Simulation and Its Management" International Journal of Artificial Intelligence in Education. Vol.9. 17-31 (1998)
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[Publications] T.Horiguchi,et al.: "Two Points of View for Managing Error-Based Simulation" Proceedings of ICCE '98. 422-431 (1998)
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[Publications] T.Horiguchi,et al.: "Error-Visualization by Error-Based Simulation Considering Its Effectiveness-Introducing Two Viewpoints-" Proceedings of AI-ED '99. (掲載予定). (1999)
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[Publications] 堀口 他: "EBSの誤り可視化効果に関わる諸要因の分析とそれに基づく制御" 人工知能学会全国大会(第12回)論文集. 600-603 (1998)
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[Publications] 堀口 他: "可視化効果を考慮したError-Based Simulationの制御手法と実装-2つの視点を中心として-" 人工知能学会研究会資料. SIG-IES-9802-2. 7-12 (1998)