1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10780262
|
Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
陳 謙 和歌山大学, システム工学部・デザイン情報学科, 講師 (70263233)
|
Keywords | 仮想現実感 / 形状計測 / 多視点統合 / 遺物破片 / 考古学 / レーザレンジファインダ / 遺物復元 |
Research Abstract |
この報告は,考古学における遺物破片をリアルに再現するための,立体モデルの構築法に関するものである.既存の三次元形状計測装置の制限により,厚みの薄い遺物の破片の形状が一回の計測で獲得できないため,複数回の計測で得られた形状データを統合する処理が必要になる.従来の多視点統合処理は,異なる計測データにある物体の表面の重複する部分を一致させることで行なわれた.しかし,遺物破片のような厚みが薄いものの場合,表面と裏面の共通部分である側面の面積は非常に小さいため,正確に統合できないことは多かった.本研究はほとんどの遺物の破片には水平面に安定に置ける姿勢が存在することに着目し,破片が水平面に安定に置いた時の接地点を手がかりにして,破片の表と裏の測定データを統合する手法を考案した.三次元形状計測装置を用いて計測された遺物破片の形状は,三次元の点群データである.破片が水平な計測台に安定に置かれているときに接地している点は,破片を裏返すと,見えるような格好になり,それらの3次元座標が測定可能になる.本研究はこれらの点を抽出し,それらが存在する平面を決定する.この平面が計測台の面に一致するように,破片データを座標変換し,さらに,計測台上での平行移動,回転移動を行うことにより,破片の裏面の形状データと表面の形状データを統合する.提案手法の有効性を検証するために,厚みが既知であるアクリル板で作った模擬破片と,出土した実物の遺物破片,陶器のコップを割って作った破片を用いて実験を行った結果,ほぼ正確な仮想破片が構築され,本手法は有効であることを確認した.
|