1998 Fiscal Year Annual Research Report
グラフ構造を有する組合せ最適化問題に対する並列解法の構築
Project/Area Number |
10780271
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
猿渡 康文 筑波大学, 社会工学系, 助教授 (00292524)
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Keywords | 組合せ最適化 / グラフ構造 / グラフ理論 / 並列解法 / 組合せ構造 |
Research Abstract |
本研究では、グラフ構造を有する組合せ最適化問題に対して、並列珪酸を前提とした問題構造の解析を行うための理論体系を目的とし、得られた理論を基礎とした解法の提案と実装方法の検討を行う。1年目の本年度は、グラフ構造を有する組合せ最適化問題の代表的な問題を取り上げ、この問題に内在する問題固有の構造解析を中心に研究を行った。また、得られた結果を実装するための基本的なデータ構造やグラフ構造を導出した。これらによって、目的とする理論体系の枠組みの一部が構築された。 問題構造の解析には、2倍グラフ上の最大マッチング問題を取り上げた。あるマッチングが最大マッチングであるための必要十分条件は既に理論的に導出されており、それは、そのマッチングに対する増加可能路が存在しないことである。そこで、本研究ではこの理論をもとに、あるマッチングに対する増加可能路の存在の有無を判定するための理論を並列計算の視点から構築した。具体的には、あるマッチングに対する非飽和点集合に含まれる任意の2頂点間の増加可能路は2辺彩色グラフ上の交互路に1対1対応することを示し、辺彩色グラフをもとに、交互路の存在の有無を判定する理論を提案した。また、交互路が存在する場合、交互路の数の上限を算出する列挙法にもとづく並列解法を提案し、その妥当性を理論的に検証した。さらに、実装において必要となるデータ構造の提案を行った。その結果、ライブラリ化可能なツールの構築が実現できた。なお、この研究成果は投稿論文として準備中である。 本年度の成果を受けて、短時路問題や割当問題の問題構造の解析、ならびに並列解法の構築を行う予定である。
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