1998 Fiscal Year Annual Research Report
ペトリネットを利用したバッチプロセスの運転支援システム構築に関する研究
Project/Area Number |
10780278
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
島田 行恭 岡山大学, 工学部, 助手 (10253006)
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Keywords | 運転支援システム / プロセスモデリング / バッチプラント / ペトリネット / 異常時操作支援システム |
Research Abstract |
プロセス運転支援システムは,大きく(1)信号処理サブシステム,(2)異常診断サブシステム,(3)操作指示サブシステムに分けることができる.操作指示サブシステムを構築するためには,指示機能が利用者にとって有用かどうか,実際の現象を忠実に捉えているかどうかを判断するための(1)プロセス正常時及び異常時の挙動の解析手法,(2)プラントのモデリング技法を確立し,あらかじめシステムの健全性を検証する必要がある. 本年度は,異常時操作指示サブシステムの構築を目的としたバッチプロセスのモデリングについて検討した.まず,1)操作手順モデル,2)構成要素挙動モデル,3)プロセス変数モデルの3種類のプロセスモデルを構築した.一方,プロセスの異常状態に対処できるシステムとするために,対象プラント内に潜在する異常のデータを4)異常伝播モデルとしてまとめた.異常伝播モデル作成のためのデータは,対象プロセスの安全性解析結果や,ダイナミックシミュレーションにより獲得される情報を基に獲得できる.1)〜4)の各モデルを結合し,これに操作指示に関する情報を追加することで,プロセス異常発生時にその対応操作をオペレータに指示するための異常時操作指示モデルを構築した. モデリングツールとしてペトリネットを利用した.ペトリネットはプロセスの運転,オペレータによる操作と挙動の間の複雑な制約条件をモデル化することができ,また,シミュレーションによりそのモデルが正しく構築されているかどうか,システムの機能はこれで充分かどうかなどを容易に検証できる. 例として,ポリ塩化ビニル重合反応プロセスに,提案するモデリング法を適用し,その有用性を確認した. 今後の研究展望としては,システムより出力される操作指示内容をいかに分かりやすくオペレータに表示するか,現在の異常伝播モデルで考慮されていない異常伝播速度と操作の関係をどのようにモデリングするかについて検討していく.
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