1999 Fiscal Year Annual Research Report
堆積物と古文書を用いた九州火山の歴史噴火の解明とそれに基づく将来の噴火災害予測
Project/Area Number |
10780292
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
井村 隆介 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (40284864)
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Keywords | 噴火災害 / 歴史噴火 / 史料 / 桜島火山 / 安永噴火 / 雲仙火山 / 島原大変 |
Research Abstract |
噴火災害の回避・軽減には,「いつ噴火するのか?」といった予知情報に加えて,噴火が時間の経過とともにどのように推移するのかを予測することが重要である.そのためには,過去に起こった噴火の推移を具体的に把握しておく必要がある.過去の噴火の推移を知るには,噴火堆積物の層相や層位関係に着目した研究が不可欠であるが,それだけでは前兆現象や噴火の継続時間に関する情報を十分得ることはできないので,文字記録の残された歴史時代の噴火に着目し,噴火堆積物とその記録を対応づけて噴火を復元するとよい.本研究では,安永八年十月朔日昼八つ過ぎ(1779年11月8日14時頃)に始まった桜島火山の安永噴火と「島原大変肥後迷惑」で知られる,寛政雲仙普賢岳噴火(1791-1792)の史料について,その記述を火山学的に検討して,それぞれの噴火の推移について考察した. その結果,桜島安永噴火の推移は,海底での噴火の発生・新島の誕生と大正噴火直後の大きな地震をのぞけば,大正三年(1914年)に起こった噴火のそれときわめてよく似ていることがわかった.さらに,大正噴火の直後には,古きに学ぶべく,安永噴火の活動の推移が注目されてその史料が集められたことや,安永噴火を記述した多くの史料では文明噴火のことが記載されていることが明らかとなった.一方,寛政雲仙普賢岳噴火の史料からは,これまで地すべりの結果生じたと考えられてきた地割れの一部が,千々石断層ならびに赤松谷断層の2つの活断層の運動によって生じた変位地形であることがわかった.このことは,噴火に伴う直接的な災害だけでなく,地震による災害も同時に発生する可能性があることを示しており,今後の噴火災害予測を考える上で重要である. 今後も噴火予知の研究とともに過去の噴火の推移について,史料と噴出物の両面から調査・研究を進めていく必要がある.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 井村隆介: "史料からみた桜島火山安永噴火の推移"火山. 43・5. 373-383 (1998)
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[Publications] 井村隆介: "桜島安永噴火の絵図"火山. 43・5. 419-421 (1998)
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[Publications] 井村隆介: "フィールドガイド日本の火山(4)「東北の火山」 蔵王火山(p.70-88)を執筆"築地書館(高橋正樹・小林哲夫編). 169 (1999)
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[Publications] 井村隆介: "フィールドガイド日本の火山(5)「九州の火山」 霧島火山(p.85-103)を執筆"築地書館(高橋正樹・小林哲夫編). 152 (1999)