1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10780298
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
八柳 祐一 早稲田大学, 理工学部, 助手 (30287990)
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Keywords | 磁気再結合 / カオス / 電磁流体 / 渦・電流フィラメント / 太陽フレア |
Research Abstract |
我々は本研究において,最終的に太陽フレアの機構の解明を目的としている。この機構の研究のためには磁力線高速再結合の機構の解明が必須の課題であると考えられるので,今年度は,我々が提案しているカオス(的)再結合の高速性に話題をしぼって研究を進めてきた。我々は渦・電流フィラメントの衝突過程において,リアプノフ指数を用いて調べた結果,系に内在する非線形性に起因するカオス的運動をフィラメントが示すことがわかった。また,カオス的運動によって引き起こされたフィラメントの複雑な配位(カオス的配位)を経由してフィラメントが再結合するダイナミクスを数値シミュレーションを通して明らかにすることができた。さらに,我々は,この再結合プロセスが十分高速に行われるであろうことを示唆する結果を得ることができた。 再結合過程の速度を評価する指標として,リコネクション・レートを用いる。渦・電流フィラメントの衝突により引き起こされる再結合に関するリコネクション・レートR_fは,R_f(t,θ)=D(t)Ω(θ)で与えられると我々は考えた。ここで,Dは系の散逸過程により決定される係数で,異常抵抗や従来の電気抵抗などの効果が含まれる。また,Ωは新たに導入した係数で,フィラメント間の重なりあう体積である。理想電磁流体の場合D=0,それ以外の場合D≠0となる。我々のモデルは基礎方程式は理想電磁流体方程式であるが,フィラメントのカオス的配位が再結合をおこす際に粗視化にあたる空間平均を系に導入したため,我々のモデルではD≠0と考えられる。数値シミュレーションの結果から,初期条件が非対称的なフィラメントの場合はΩの値が時間とともに指数関数的に増大することが確認できており,Ωが非常に大きな値をとることにより,Dが非ゼロでありさえすれば,再結合過程を効果的に加速できることがわかった。よって,我々はカオス再結合が高速再結合に分類できるものであると考えている。
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Research Products
(1 results)