1999 Fiscal Year Annual Research Report
核融合燃料・材料相互作用における表面-バルク欠陥化学
Project/Area Number |
10780304
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 憲司 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (50210357)
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Keywords | 核融合燃料・材料相互作用 / 表面現象 / バルク欠陥 / 仕事関数 / 電気伝導度 / 高温ケルビン計 / 重量変化 / ゼーベック係数 |
Research Abstract |
(1) 表面とバルクの関係をより詳細に検討するために、ジルコニウム(Zr)ならびにジルコニウム合金(ジルカロイ4)を取り上げ、酸素を4000Pa程度含むスイープガス中にさらし表面の酸化を行った。表面が酸化していく過程を、熱天秤によるバルク重量変化測定で、また、高温ケルビン計を用いて、仕事関数変化を測定した。実験の結果、酸化のごく初期に仕事関数は急激な変化を遂げ、その後も速やかに増加していくのに対し、重量は、経過時間の平方根に従って、穏やかに増加しているのが観測された。後者の事実は、酸化がバルクでの(酸素空孔の)拡散過程に律速されることを意味しているため、重量変化と仕事関数変化の間に直接的な相関がなかったことが理解できる。さらに、スィープガスの組成(酸素ポテンシャル)を変化させて重量変化を調べたところ、酸化速度定数はスイープガス中の酸素分圧に依存しないという結果が得られたが、高温ケルビン計での測定により、表面近傍に酸素空孔の生成/消滅が起こっていることが示唆された。 (2) 非熱平衡欠陥の挙動を調べるために、欠陥導入のためのビーム注入装置を備えた「その場」仕事関数測定装置を構築した。しかし、装置各所でのビームの散乱や金属板ヒーターの加熱などに伴う二次電子の影響が、仕事関数測定に表れたため、結果の解釈は困難を極めている。 (3) 所期の目的は達成したものの、前年度測定した電気伝導度をゼーベック係数の測定を通じて求めるという新たな手法の導入を試みに着手した。
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