1998 Fiscal Year Annual Research Report
固体表面でのイオン反射を利用した新しいプラズマ計測法に関する研究
Project/Area Number |
10780306
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
増崎 貴 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部(プラズマ制御研究系), 助手 (80280593)
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Keywords | プラズマ対向壁間相互作用 / イオン反射 / イオン温度計測 / ダイバータプラズマ / 飛行時間型エネルギー分析器 |
Research Abstract |
研究計画に則り、平成10年度は中性粒子と二次電子の変換板(Cu-Be)を用いた飛行時間型中性粒子エネルギー分析器を完成した。さらに核融合科学研究所の直線型プラズマ実験装置TPD-Iにおいて、本研究で提案している新しい計測法の原理実験を行った。 プラズマ中に挿入する固体ターゲット材料としてタングステン及びカーボンを用いた。動作ガスに水素とヘリウムの混合ガスを用いたプラズマを生成し、ターゲットからの反射中性粒子のエネルギー分布計測を行い、モンテカルロシミュレーションコードTRIM-SPを用いた計算結果との比較を行った。計算に際しては、エネルギー分析器のチョッパ開口時間が有限であることも考慮した。実験で得られた反射中性粒子のエネルギースペクトルには、水素とヘリウムに対応する2つのピークが輸測され、本計測法の一つの目的である粒子弁別がなされていることが確認できた。水素とヘリウムのそれぞれに対応するエネルギースペクトルは、電子温度程度のイオン温度(5-10eV)を仮定した計算機シミュレーション結果とそれぞれ良く一致した。今回、他の手法でのイオン温度計測は行っていないが、エネルギースペクトルがピークとなるエネルギーから求めたターゲット前面のシースポテンシャルは、静電プローブを用いた計測結果とほぼ一致している。また、同条件で生成したほぼ同じパラメータのプラズマで、ターゲット材料を変えて計測した場合についてそれぞれの夕ーゲットで得られたシースポテンシャルとイオン温度はほぼ一致した。以上のことから、本計測手法により、プラズマ中の固体表面へ入射するイオンのエネルギー分布を求め得る可能性が示された。 これらの成果の一部は、プラズマ壁相互作用に関する日米ワークショップ(平成10年10月、核融合科学研究所)において発表された。
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