1998 Fiscal Year Annual Research Report
山岳湖沼及びその集水域における大気汚染物質の降下とその水質に与える影響
Project/Area Number |
10780323
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
深澤 達矢 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80292051)
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Keywords | エアロゾル / 大気降下物 / 重金属 / 有機塩素化合物 |
Research Abstract |
摩周湖から西南西約10kmに位置する美羅尾山山頂に観測ステーションを設置した。7月からサンプリングを開始し、現在も継続中である。また湖水のサンプリングも行った。今年度の成果は以下の通りである。 ○ 粒径2μm以下のエアロゾルの総重量濃度は7月から2月の期間中1〜6μg/m^3で、他のバックグラウンド地域と同様に清浄なレベルであった。 ○ エアロゾル中重金属濃度は低いものの秋から冬にかけて漸増傾向を示した。海塩成分も同様の傾向を示した。 〇 一方、大気降下物量、及び降下物中の重金属成分量には明確な季節変動が見られなかった。 ○ 湖水中の重金属濃度分析の結果、表層で増加傾向あるいは深層で増加傾向を示す成分があり、大気降下物の寄与が示唆された。 ○ 固相抽出カートリッジを用いた有機塩素化合物(BHC類)のGC-MSによる測定法について添加回収試験により検討を行った。その結果、住友化学製のエムボアディスクで、80%以上の良好な回収率が得られた。 ○ 前記の方法による環境大気のテストサンプリングにおいては、採気量が少ない(20m^3)ためか、BHC類は検出できなかった(500pg/m^3以下)。数百m^3まで採気すれば、理論的には検出できることがわかった。 O 大気中揮発性有機化合物測定の結果、フロン等長寿命成分濃度は根室における他の測定結果とほぼ一致した。 その他の成分・項目については現在分析あるいはデータの解析中である。今後、今年度の結果を踏まえ、大気汚染物質が水質に与える影響を明らかにしたい。
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