1998 Fiscal Year Annual Research Report
懸濁態リンの藻類利用可能性測定のための環境水中懸濁物質の分離手法の開発と応用
Project/Area Number |
10780329
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
井上 隆信 国立環境研究所, 水土壌圏環境部, 主任研究員 (00184755)
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Keywords | 富栄養化 / 懸濁態リン / 懸濁物質 / 藻類利用可能性 |
Research Abstract |
河川水・湖沼水中の懸濁物質を水から分離・濃縮するための連続遠心分離法についてろ過操作で捕集される量との比較検討を行った。 連続遠心分離前後の試水をろ過することによって、連続遠心による懸濁物質の捕集率を求めた。連続遠心時の流量が一定の場合は回転数が大きいほど懸濁物質の捕集率は増加し、18,000rpm(26,500g)では95%遍捕集された。ろ過前後の試水の差を懸濁態とした場合のリンと炭素の捕集率は、18,000rpmでそれぞれ96%、92%であったが、回転数が大きくなるとともに逆に若干低くなる傾向が見られた。これは、回転数が大きくなるほど連続遠心分離後の試水で溶存態のリン・炭素濃度が高くなったためであるが、溶存態反応性リン濃度には変化はなかった。この原因については、連続遠心分離による藻類等の細胞の破壊、懸濁物質の微細化等による影響もあるが、連続遠心分離前の試水の方が連続遠心分離後の試水より、ろ紙の孔径より小さい粒子がろ紙上に捕捉される確率が高いことが大きく影響していることがわかった。 孔径の異なるろ紙を用いて連続遠心分離した前後の試水をろ過して懸濁物質の粒径別の捕集率を求めた。 ろ紙の孔径が大きいほど懸濁物質の捕集率は大きくなった。10μm以上の懸濁物質はほぼ100%捕集され、懸濁態と溶存態を分けるのに通常用いられている0.45μmでは95%が捕集された。 連続遠心分離によって、従来から用いられているろ紙による分別とほぼ同様の懸濁物質を分離・濃縮することができた。連続遠心分離法は、取扱いやすい形で懸濁物質を濃縮できる、多量の懸濁物質を捕集することができる等の利点がろ過法に比べてあり、河川・湖沼水中の懸濁物質を水から分離し、濃縮するための有効な手段であることがわかった。
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