1998 Fiscal Year Annual Research Report
テラピア雄血中の雌特異タンパク質誘引に関する環境水成分の影響
Project/Area Number |
10780332
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
竹村 明洋 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 助教授 (40222103)
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Keywords | テラピア / ビテロジェニン / 環境ホルモン / 沖縄 |
Research Abstract |
沖縄本島河川水中の雌性ホルモン様作用を持つ物質を検索することを目的として,テラピア(Oreochromis mossambicus)の雄の血中における雌特異タンパク質(ビテロジェニン)の濃度を測定した。本年度はまず,雌性ホルモン処理したテラピアからイオン交換クロマトグラフィー(Mono Q)とゲル濾過(Superdex 200)を用いてビテロジェニンを精製した。精製の結果,テラピアには2種類のビテロジェニン(VTG1とVTG2)が存在することが明らかとなった。それぞれの分子量はゲル濾過で560kDaと320kDa,そして還元条件下でのSDS-PAGEで182kDaと100kDaと推定された。これら2種類のビテロジェニンと反応する抗体の作製を行なった。ウェスタンブロッティングの結果,作製した抗体はそれぞれのビテロジェニンと特異的に反応することが判明した。 本年度ではまた沖縄本島の河川でのテラピアの周年採集を行ない,血液の採取と精巣の組織標本作製を行なった。採集河川として選んだのは,羽地大川,億首川,天願川,比謝川,安里川,安謝川,そして国場川であった。抗テラピアVTG1抗体を用いた二元免疫拡散法で予備的に上記の河川に生息するテラピア雄の血中ビテロジェニンの有無を確認したところ,少数ではあるが全ての河川でビテロジェニンを含む雄のテラピアが見つかった。特に,安謝川(下流域)で採集した個体では全ての個体の血中に高濃度のビテロジェニンが検出でき,この河川が何らかの雌性ホルモン様物質を含むことが示唆された。現在,酵素免疫測定法と一元放射免疫拡散法による血中ビテロジェニン量測定系を作製するとともに,組織標本を観察し,組織学的な異常の有無を確認中である。
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Research Products
(1 results)