1998 Fiscal Year Annual Research Report
都市ビオトープにおける在来植物の遺伝子多様性の保全の研究
Project/Area Number |
10780343
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 武 姫路工業大学, 自然・環境科学研究所(付置研究所), 助手 (30254460)
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Keywords | 生物多様性 / 遺伝子多様度 / 都市緑地 / カンサイタンポポ |
Research Abstract |
兵庫県三田市にある「フラワータウン」は開発後約20年が経過したニュータウンである。本年度はこの場所を中心に、都市残存緑地での日本在来の野生植物の遺伝子多様性を調査するために、草地の植物としてカンサイタンポポ・カラスノエンドウなど、森林の植物として、シシガシラ・ジュウモンジシダ・コバノミツバツツジ・クロモジなどについて、酵素多型の検出法について検討した。その結果、カンサイタンポポは様々な遺伝子座に多型があること、上記の他の植物に関しても、そこそこの酵素多型が見いだせることがわかった。 特に、カンサイタンポポについては、フラワータウンにおいて、分布・個体数を全面的に調査して、開発後の緑地および残存緑地に成立した個体群から1集団あたり約30個体、計10集団について、酵素電気泳動法で検出された8酵素10遺伝子座について、遺伝子多様度について解析した。 その結果では、1)小集団(30〜20個体程度)でも大集団(500〜1000個体程度)でも遺伝子多様度(平均へテロ接合率)に差は認められず、小集団でも十分な遺伝子多様度をもつことが示された。また2)根井の遺伝子分化係数は0.09と低く、かなりの遺伝子流動があるものと思われる。フラワータウンは半径500m程度のニュータウンの周辺に田園地帯がとりまいており、この程度の距離ならば、カンサイタンポポは種子による分散や昆虫による花粉媒介により、適切な立地さえあれば、十分な遺伝子多様度をもつ集団を急速に形成できると考えられる。
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