1998 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子間相互作用解析装置を用いたオカダ酸結合タンパク質の同定
Project/Area Number |
10780349
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
此木 敬一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (40292825)
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Keywords | オカダ酸 / プロテインフォスファターゼ 2A / 表面プラズモン共鳴 |
Research Abstract |
タンパク質のリン酸化・脱リン酸化は、細胞内における情報の伝達機構の中心に位置している。オカダ酸はプロテインフォスファァターゼ2A(PP2A)に対する最強の阻害剤であり、現在タンパク質リン酸化にともなう生命現象を研究する上で最も頻繁に利用されている化合物となっている。 今回我々は、オカダ酸とPP2Aとの相互作用を表面プラズモン共鳴(SPR)装置で解析するためにオカダ酸のビオチン標識化を検討した。その結果、オカダ酸に存在するカルボキシル基と3つの2級水酸基のそれぞれにビオチンを特異的に導入することに成功した。 ストレプトアビジンがセンサー表面に固定化されたセンサーチップ上に各オカダ酸ビオチン化体を結合させた後、市販のPP2Aを添加し、SPR測定を行った。その結果、C-7位水酸基を誘導化したビオチン化体がPP2Aに対する結合活性を最も強く保持しており、C-27位水酸基ビオチン化体がそれに次ぐ活性を示すことを明らかにした。 本法による活性評価に加え、別途調製したトリチウム標識オカダ酸([27-^3H]okadaic acid)を用いた結合活性を指標にすることで、クロイソカイメンが共生微生物の生産するオカダ酸に対する防御機構として備えていると想定したオカダ酸結合タンパク質の探索が可能であると考えた。その結果、クロイソカイメンを細かく粉砕した後に得られる総タンパク質に対して硫安分画、疎水性クロマトグラフィー、ゲルろ過を行い、オカダ酸に強い親和性を示す分子量約40Kdaの水溶性タンパク質を精製することに成功した。
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[Publications] Keiichi Konoki, Naoyuki Sugiyama. Michio Murata, Kazuo Tachibana: "Direct Observation of Binding between Biotirylated Okadaic Acids and Protein Phosphotase 2A Minitered by Surface Plasma Recurrence" Tetrahedron Letters. 40. 887-890 (1999)