1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10780351
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
有本 博一 静岡大学, 理学部, 助手 (60262789)
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Keywords | 天然物 / 生物活性 / メタセシス / 高次化 |
Research Abstract |
1. 抗MRSA抗生物質バンコマイシンの二カ所に、それぞれ位置選択的に化学修飾した。メタセシス反応に用いるため、歪みのかかったノルボルネン誘導体を導入した。また、重合部位とバンコマイシンとの距離を制御するためメチレン鎖長の異なるリンカーを複数設計した。重合においては、当初バンコマイシンに存在する多様な官能基が触媒を失活させる可能性が危惧されたが、遊離のアミンをトリフルオロ酢酸塩に変換することによりメタセシス反応が使用可能であることがわかった。一部の重合体はMALDI-TOFマススペクトルによって確認することができたが、SDS-ポリアクリルゲル電気泳動法を用いた方がより明確な結果を与えた。重合に使用する溶媒の種類や、触媒と基質の比を変化させることによって重合度分布の異なるサンプルが得られた。合成したバンコマイシンモノマーやポリマーについて、活性を評価中である。一次データによると修飾部位によって抗菌活性がかなり異なり、今後は構造活性相関の研究を行う。 2. VCAM-1産生阻害物質ハリクロリンについては短段階合成にむけた検討をおこなった。山口らの連続マイケル付加-環化反応によって五員環部を含む二環性ラクトンを構築した。これに、鍵反応となるヘテロディールスアルダー反応に必要な1,3-ジエン部位をアルドール反応によって導入した。現在、ハリクロリン窒素原子の前駆体となるカルボン酸のクルチウス転位を検討中である。
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