1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10780356
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
倉本 誠 愛媛大学, 機器分析センター, 助手 (50291505)
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Keywords | アコヤ貝 / 赤化 / 大量死 / 血リンパ球 / 急性毒性 / 白色混合結晶 |
Research Abstract |
申請者はアコヤ貝斃死の原因解明を目的として研究を展開し,これまでに以下のことを明らかとした. 昨年度の研究により,赤化したアコヤ貝において血リンパ球の変性と崩壊を確認し,血リンパ球の変性活性を指標として斃死原因物質の精製を進めた.まず,赤化アコヤ貝をエタノール抽出した後,各種分配操作,クロマトグラフ分取操作を繰り返すことにより精製を行なった.血リンパ球崩壊活性物質の詳細な構造の解析には至っていないが,これまでのNMRスペクトルの解析から,糖脂質型の化合物ではないかと推定している.また,酢酸エチル層から白色混合結晶が得られてきた.この結晶は健康体と較べて16倍程度得られる.NMRスペクトルの解析によりコレステロール様物質であると推測された.高速液体クロマトグラフィーを用いた分離を行なうため,分析条件の検討を行なった結果95%メタノール水溶液を用いた条件で9種類のピークに分離可能であることが分かった.主として含まれるものとしてコレステロールなど4種類の構造を明らかにすることが出来た.これ以外にも微量ではあるが,5種類の同族体の存在を確認することが出来た.それらの構造については,現在のところ解析の途中である.本分析手法を用いて,健康体との成分量の比較も検討している.またこの分析手法を用いて,アコヤ貝異常の簡便な検出の開発を目指してさらなる改良も検討している. また,アコヤ貝の赤化した養殖いかだ周辺海水の分析を行なった.一定量の海水を酢酸エチルを用いて抽出したところ,アコヤ貝稚貝に対する致死活性が確認された.しかしながら,この物質がアコヤガイにより代謝されたものか,周辺環境から来たものかは不明である.他の海域との比較を含め,今後さらに詳細な調査を行なっていくことが必要と考えられる. 以上の結果については,2000年3月に日本化学会春季年会において発表する.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Kuramoro,T.Tsukihara,and N.Ono: "Neoilldins A and B,New Bioactive Components from Lampteromyces japonicus"Chem.Lett.. No.10. 1113-1114 (1999)
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[Publications] K.Yamaguchi,M.Yada,T.Tsuji,M.Kuramoto,D.Uemura: "Suppressive Effects of Norzoanthamine Hydrochloride on Experimental Osteoporosis in Ovariectomized Mice."Biol.Pharm.Bull.. 22,No.9. 920-924 (1999)
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[Publications] M.Kuramoto,T.Chou,and D.Uemura: "Structures and Functions of Marine Bioactive Alkaloids"J.Synth.Org.Chem.Jpn.. 57,No.2. 105-115 (1999)