1998 Fiscal Year Annual Research Report
糖の立体配座変化を利用したβ選択的マンノシル化反応の開発
Project/Area Number |
10780359
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
山田 英俊 関西学院大学, 理学部, 助教授 (90200732)
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Keywords | ピラノース環 / 立体配座 / 反転 / β選択的 / マンノシル化反応 |
Research Abstract |
糖はその種類によってピラノース環の立体配座の存在比が決まっている.L-ラムノースとD-マンノースはそれぞれ^1C_4配座,^4C_1配座を持つものが圧倒的に優先する.今回私達は,L-ラムノースとD-マンノースを用いてピラノース環の立体配座反転の可能性を探り,ラムノースの3位にTBS,4位にTPS基を導入した化合物が,通常不安定な^4C_1配座を取ることを明らかにした.マンノースも同様に3位にTBS,4位にTPS基を導入することで反転し,通常不安定な^1C_4配座で安定に存在した.反転には3,4位水酸基のシリル保護基のみが関与しており,3,4位水酸基以外の保護基を除去した化合物もその立体配座を保ち,また,開環せずピラノースのまま存在した. 2位の置換基がアキシアル配座を取る糖を用いたO-グリコシル化反応は,オキソニウムカチオン中間体を経由する場合高いα選択性を示す.ラムノースはこのケースに該当する.反転したラムノース誘導体を用いたグリコシル化反応は,通常とは異なったアノマー位での選択性を示し,α体とβ体がほぼ同率で生成した.環配座が反転したことで,立体電子効果が1位アキシアルの置換基を持つβ体の生成に有利に働く一方,3位OTBS基と6位メチル基による立体反発が1位エカトリアルの置換基を持つα体の生成に有利に働いた結果であると考えられる.今後,反転したマンノース誘導体を用いて,より高いβ選択的な反応を開発する.
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