1998 Fiscal Year Annual Research Report
新規α-アミラーゼTVAIIのX線結晶構造解析に基づく活性機構の解明
Project/Area Number |
10780362
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
神鳥 成弘 東京農工大学, 工学部, 講師 (00262246)
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Keywords | X線結晶解析 / α-アミラーゼ / 好熱性放線菌 / シクロデキストリン / プルラン / 加水分解酵素 |
Research Abstract |
好熱性放線菌(Themoactinomyces vulgaris)が持つ、2つのα-アミラーゼ(TVAI(637アミノ酸),TVAII(585アミノ酸))は、通常のα-アミラーゼが分解できないシクロデキストリンやプルランも、デンプン同様分解できるとい興味深い酵素活性を持つ。本年においては、TVAIIについて、X線結晶解析により、低温下(113K)データ収集を行い、その3次元構造を2.6Å分解能で明らかにした(J.Mol.Biol.印刷中)。その結果、TVAIIは、これまでに構造が報告されたα-アミラーゼにはない120残基からなる新たなドメイン(Domain-N)をN末端側の持つこと、通常α-アミラーゼが必要とするCaイオンをTVAIIは持たないこと、シクロデキストリンを認識する残基(Phe286)を活性部位に持つこと等、興味深い知見を得ることができた。特に、新奇ドメインであるDomain-Nは、7本のβ-ストランドからなる歪んだβ-バレル構造をしており、バレル側面に沿って、幅8.5Å長さ23.5Åにわって疎水アミノ酸が露出した「疎水溝(hydrophobic groove)」を形成していた。疎水領域が分子表面に広く露出するのは不自然であるが、TVAIIは、結晶中、非対称単位に2分子存在し、それらは非結晶学的2回軸によって関係づけられており、2分子の間では、おもにDomain-N同士が相互作用し、互いの疎水溝を覆うようにコンタクトしていた。その結果、ダイマーを形成すれば、もはや疎水溝は分子表面に現れなくなる。つまり、Domain-Nの疎水溝は、ダイマー形成の駆動力の1つと考えられる。現在、水溶液中においてもダイマーを形成しているか確かめる実験を検討中である。
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Research Products
(1 results)