1999 Fiscal Year Annual Research Report
新規α-アミラーゼTVA IIのX線結晶構造解析に基づく活性機構の解明
Project/Area Number |
10780362
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
神鳥 成弘 東京農工大学, 工学部, 助教授 (00262246)
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Keywords | X線結晶解析 / α-アミラーゼ / 好熱性放線菌 / ミュータント酵素 / シクロデキストリン / ブルラン |
Research Abstract |
好熱性放線菌(Thermoactinomyces vulgaris R-47)は、2つのα-アミラーゼ(TVA1,TVA2)を持つ。これらは、デンプンに加えて、通常のα-アミラーゼがほとんど加水分解できない環境オリゴ糖であるシクロデキストリンやα-1,4、α-1,4、α-1,6が規則正しく繰り返す多糖であるプルランも分解できるという興味深い基質特異性を持つ。平成10年度においては、低温下(100K)でデータ収集を行い、TVA2の3次元構造をX線結晶解析により明らかにした(Kamitori et al.(1999)J.Mol.Biol.287,907-921)。その結果,TVA2は、通常のα-アミラーゼが持っていない120残基からなる新たなドメイン(Domain N)をN末側に持つこと、シクロデキストリンを認識できると考えられるPhe286残基を活性部位付近に持つこと、TVA2の活性部位は他のα-アミラーゼに比べて浅くプルランを認識するのに都合がよいことが明らかになった。平成11年度は、TVA2がどのように基質を認識するかを明らかにするために、触媒活性残基であるGluをAlaに置換したミュータント酵素(E354A)を合成し、数々の基質との複合体の結晶作製を試みた。その結果、E354とβ-シクロデキストリン(β-CD)との複合体のX線データを放射光(SPring-8)を用いて収集することに成功し、解析をすすめている。現在、構造は、2.8Å分解能、R-factor=0.22まで精密化を行い、シクロデキストリンに対応する電子密度もはっきりと得られている。Phe286はシクロデキストリンと相互作用しており、酵素に対する基質の相対的な配向・位置を決定できている。以上の結果をふまえ、Phe286がシクロデキストリン認識において果たしている役割をさらに明確にするため、Phe286を様々な大きさのアミノ酸残基(Ala、Leu、Tyr、Trp)に置換したミュータント酵素を合成し、反応パラメータの測定・X線結晶解析をすすめている。
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Research Products
(1 results)