1998 Fiscal Year Annual Research Report
複数のオルガネラに局在する酵素・長鎖アシルCoAシンセターゼの膜移行機構
Project/Area Number |
10780365
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
上条 桂樹 信州大学, 医学部, 助手 (10252074)
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Keywords | タンパク質の選別輸送 / 局在化シグナル / オルガネラ / ミトコンドリア / 小胞体 / 膜タンパク質 / アシルCoAシンセターゼ |
Research Abstract |
1. 長鎖アシルCoAシンセターゼ(LACS)の細胞内局在の検討 ラット肝臓のLACSのcDNAを株化培養細胞(COS1,HEK293,HepG2)で発現させ,蛍光抗体法および免疫電顕法により局在を検討した.いずれの細胞でも,LACSはミトコンドリア外膜および小胞体膜に局在化した.また,LACSとGFPとの融合蛋白質を発現させた細胞を,生きたまま観察しても同様の局在パターンが得られた.こうしたことから,LACSは単一遺伝子からの翻訳産物が2つのオルガネラに移行することがあきらかとなった. 2. LACSのオルガネラ膜への局在化シグナルの同定 LACSの種々の欠失変異体の発現ベクターを作成し,培養細胞で発現させてその局在を調べた.その結果,LACSのN-末端からおよそ30-50残基に相当する約20残基のアミノ酸配列が,オルガネラ膜への移行に必須であることがわかった.この配列は,疎水性アミノ酸が約15残基連続した領域と,それに隣接した塩基性アミノ酸を多く含む領域から構成されていた.この配列とパッセンジャータンパク質(DHFR,GFP)との融合タンパク質を発現させると,これらはミトコンドリア外膜およびER膜に局在化した.したがって,この配列がLACSのオルガネラ膜移行のためのシグナル配列として働くことが確認された. 3. 部位特異的点突然変異の導入によるシグナル配列の解析 上記シグナル配列中の疎水性アミノ酸の一部を部位特異的点突然変異法で,荷電を持つアミノ酸に置換したところオルガネラへの移送能力が失われた.今後,このシグナル配列の詳細な検討により,各オルガネラ膜へのソーティング機構が解明できるものと考えられる.
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