1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10780367
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加畑 博幸 京都大学, 工学研究科, 助手 (70293884)
|
Keywords | 1分子ダイナミクス / 転写 / RNAポリメラーゼ / リプレッサー / 伸長固定化DNA / スライディング |
Research Abstract |
伸長固定化DNA上でのT7RNAポリメラーゼの運動を同定するには、ポリメラーゼ分子を顕微鏡で明るい光点として可視化すればよい。そごで、DNA.の構造類似体であるヘパリン樹脂とポリメラーゼとの複合体を形成してから、ポリメラーゼのアミノ基にローダミン蛍光基を化学修飾する標識法を開発した。この方法には、1.ポリメラーゼのDNA結合部位および近傍のRNA合成部位への蛍光基の結合をヘパリンが防ぐことで、ポリメラーゼの機能に無関係な部位だけを化学修飾できる、2.標識されたポリメラーゼは低塩濃度溶液中ではヘパリン樹脂と結合しているため、樹脂を洗うことで観察の妨げとなる未反応の蛍光基を取り除ける、3.洗いの溶液の塩濃度を高くしていくことによりDNA結合活性が低下した分子を排除し結合活性が保持された分子を精製することができる、4.精製画分めの標識ポリメラーゼ分子が蛍光顕微鏡で可視化され かつRNA合成活性をもつことが転写実験によって確認された、5.T7RNAポリメラーゼだけでなく制限酵素EcoRIも失活することなく可視化できることが実証され、タンパク質の構造・機能によらず汎用である、という特長がある。 一方-、T7RNAポリメラーゼの運動を阻害する対照実験のためには、CamRリプレッサーをポリメラーゼの運動の障害物として伸長固定化DNAに含まれるcamO配列に結合させておく必要がある。そのためにCamRとcamO配列間の特異的結合の親和性を決定したところ、camO配列に隣接する塩基配列の数が60倍に増えると、CamRのcamO配列への結合の効率が190,000倍増加することを見出した。これはcamO配列以外のDNA部分がCamRのCamOに対する親和性を調節していることを示しており、その調節機構はスライディング運動(タンパク質の受動的なDNAに沿った一次元拡散)による特異的結合の促進で説明される。
|