1998 Fiscal Year Annual Research Report
胚に特異的な糖鎖を生合成するフコース転移酵素の遺伝子クローニングと発現部位の検索
Project/Area Number |
10780368
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長束 俊治 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00243163)
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Keywords | フコース転移酵素 / 遺伝子クローニング / 複合糖質 / 胚発生 |
Research Abstract |
これまでに報告されている脊椎動物のフコース転移酵素遺伝子の配列から相同性の高い部分を検索し、PCRプライマーを設計した。このプライマーを用いてゼブラフィッシュのゲノムDNAに対してPCRを行い、フコース転移酵素遺伝子に相同な遺伝子断片を単離した。次に全コーディング領域を含む遺伝子をクローニングするために、ゼブラフィッシュのゲノムライブラリーを、この相同遺伝子断片を用いてスクリーニングした。その結果、2つの異なるフコース転移酵素遺伝子をゼブラフィッシュから単離する事に成功した。これらの遺伝子は、同じ染色体上に約10.5kbp離れて同じ方向で存在していた。また両者間の相同性は約70%と高かったので、進化上遺伝子重複によって生じたものと考えられる。 COS7細胞への遺伝子導入実験の結果、この二つの遺伝子zFT1、zFT2の翻訳産物は共にラクトサミン構造にα1-3結合でフコースを転移しルイスx構造を生合成できる酵素であることを確認した。またゼブラフィッシュ胚でのmRNAの発現をRT-PCR法を用いて調べた結果、zFT1は受精後15〜18時間に、一方zFT2は受精後72時間の胚に時期特異的に検出された。また成体では検出限界以下であった。これらのことから、本研究により新しく見いだされた遺伝子zFT1、zFT2は胚時期に発現し、ルイスx構造を生合成している可能性が強く示唆された。 他の構造既知のフコース転移酵素遺伝子との相同性を調べた結果、マウスの脳で発現しているFuc-TIXと進化上の関連性が高いことが判明した。
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