1999 Fiscal Year Annual Research Report
胚に特異的な糖鎖を生合成するフコース転移酵素の遺伝子クローニングと発現部位の検索
Project/Area Number |
10780368
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
長束 俊治 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 講師 (00243163)
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Keywords | フコース転移酵素 / 胚発生 / ルイスX抗原 / 複合糖質 / ゼブラフィッシュ |
Research Abstract |
前年度に遺伝子の単離を行った2種類のゼブラフィッシュフコース転移酵素の基質特異性を解析した。発現ベクターに組み込んだ遺伝子を培養細胞に導入し、酵素を発現させた後、紬胞を溶解して酵素元とした。基質として1型構造糖鎖、2型構造糖鎖、シアル酸の付いた2型構造糖鎖を用いたところ、2型構造糖鎖のみにフコースを転移した。この基質特異性は、脊椎動物の胚における存在が酵素学的な研究から指摘されているフコース転移酵素と一致している。前年度に示した本酵素遺伝子の胚における特異的な発現と合わせて、我々がクローニングした遺伝子は、以前より多くの糖鎖研究者によって探し求められてきた、胚特異的ルイスx糖鎖を生合成するフコース転移酵素であることが強く示唆された。胚特異的ルイスx糖鎖は、特に神経外胚葉に強く発現しており、神経系の発生に重要な役割を果たしていることが示唆されている。現在、本酵素遺伝子の詳細な発現部位の特定を目指して、in situハイブリダイゼーション法による分析を行っている。 次に、本酵素によって生合成されて胚細胞で発現している糖鎖の構造解析を目的として、ゼブラフィッシュ胚で特異的に発現しているフコシルオリゴ糖鎖の検索を行った。N-配糖体とO-配糖体をともにピリジルアミノ化による2次元マッピング法で展開し、フコシダーゼ消化と組み合わせてスクリーニングしたところ、O-配糖体の9グルコース単位の画分にフコース転移酵素の発現時期と一致して発現しているフコシルオリゴ糖鎖を確認できた。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Kageyama, N. et al.: "Molecular cloning and characterization of two zebrafish α(1,3)fucosyl-transferase genes developmentally regulated in embryogenesis"Journal of Biochemistry. 125巻・4号. 838-845 (1999)