1998 Fiscal Year Annual Research Report
変異型GroELを用いたシャペロニンの標的蛋白質結合メカニズムの解析
Project/Area Number |
10780369
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
溝端 知宏 鳥取大学, 工学部, 助手 (50263489)
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Keywords | 分子シャペロン / シャペロニン / 部位特異的変異導入法 / 蛋白質フォールディング / GroEL |
Research Abstract |
大腸菌由来シャペロニン蛋白質GroELの標的蛋白質認識ドメインであるアピカルドメインにArg→Trp変異,及びArg→Cys変異を導入したGroELR231W,R231C変異体の機能解析を行った。両方の変異体のATPアーゼ活性は野生型とほぼ同様(R231C変異体)もしくはそれ以上(R231W変異体)の値を示したが,補助蛋白質であるGroESに対する結合親和性は両変異体とも減少していた。標的蛋白質との相互作用に関しては,R231C変異体は様々な分子量の標的蛋白質に対して一律に親和性が低下し,フォールディング反応を補助する能力を失っていた。しかしR231W変異体は分子量約3万の標的蛋白質であるロダネーゼに対しては野生型とほぼ同等の親和性で結合し,またそのフォールディング反応を補助する能力を示したのに対し,エノラーゼ(分子量4万7千)やホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(分子量9万9干),ホスホフルクトキナーゼ(分子量8万5千)などの分子量の大きな標的蛋白質に対しては親和性が大きく減少していることが明らかになった。GroELR231W変異体は,アルギニン残基を疎水性の高い,側鎖の大きいトリプトファン残基に変換したために比較的分子量の小さい標的蛋白質のフォールディング反応しか補助できなくなったと考えられる。 GroELR231Wに導入したトリプトファン残基が発する蛍光を利用してGroELの構造変化に関する情報を得るための実験も試みた。GroELR231WにATPを添加し,その際のトリプトファン由来の蛍光スペクトル変化を解析したところ,k_<app>=3.9×10^<-2>sec^<-1>のトリプトファンに由来する蛍光強度増加を観測した。現在はこの蛍光強度増加に反映されているGroELの構造変化を解明しようと試みている。
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