1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10780371
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
大関 泰裕 横浜市立大学, 理学部・理学部助手 (70275022)
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Keywords | レクチン / 一次構造 / 質量分析 / ムラサキイガイ |
Research Abstract |
ムラサキイガイよりN-アセチルガラクトサミン結合性レクチンを新たに精製し、その一次構造を決定した。特異的なタンパク分解酵素を作用させて得たレクチンのペプチド断片の混合物を、高速液体クロマトグラフィーで単一に精製して、各ペプチドのアミノ酸配列と質量を気相プロテインシークエンサー及び質量分析計を用いた分析により、全一次構造を決定した。本分子は154個のアミノ酸から構成される分子量16823の単一ポリペプチド鎖からなるタンパク質で、アミノ末端アミノ酸はアセチル化修飾されていたことが判明した。分子内に一個のトリプトファンを含み、塩基性アミノ酸であるリジンやヒスチジンの割合はそれぞれ8-10%程度と、比較的高含有であった。さらにシステインは含まれていないことも判明した。興味深いことに分子中に50%前後類似した3回の反復配列が見い出され、コンピューターを用いて検索したところ、本レクチンは既存のレクチンを含むいずれのタンパク質の一次構造とも有意な類似性は見い出されなかった。ゲルろ過クロマトグラフィーにより生理的条件下でのレクチンの会合状態を調べたところ、本分子は溶液内ではほとんど全てが単量体として存在していることが明かとなった。単量体の本分子に赤血球凝集活性を見い出しており、分子内の反復配列の各ユニットに、それぞれ糖結合活性が存在することが推定された。
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