1998 Fiscal Year Annual Research Report
構造生物学に基づく食細胞NADPH酸化酵素系のSH3を中心とする制御機構の解明
Project/Area Number |
10780375
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
寺沢 宏明 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 生理活性物質研究部門, 研究員 (10300956)
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Keywords | NADPH酸化酵素 / p47phox / p67phox / Bemlp / Cdc24 / PBIドメイン / PCモチーフ / NMR |
Research Abstract |
p47phox、p67phoxについて構造生物学的手法を用いて解析を行っている。 p47phoxは3カ所のセリンがリン酸化をうけることにより、クローズ型の不活性体からオープン型の活性化体に変化する。リン酸化のミミックとして3カ所のセリンをアスパラギン酸に置換すると、活性化体になることを確認したので、野生型と変異型について大量調整し、X線小角散乱によりコンフォメーションの差異を検討した。タンパク質にアグリゲーションがあることから、溶媒条件を検討する必要があること、およその慣性半径には差が見られないことがわかった。しかし、プロテアーゼ感受性など性質に大きな差があることから、野生型と変異型の違いについて物理化学的手法を用いて解析を継続することとした。 p67phoxはp40phoxと結合するが、その結合様式は不明であった。p40phoxにはPCモチーフと呼ばれる酸性残基に富むアミノ酸配列が存在する。九大医の住本・東大医科研の伊藤らはpcモチーフに結合する新しいドメインを見出し、PB1ドメインと命名した。不明な部分を残したまま全体の制御機構を明らかにすることは困難であることから、PB1ドメインとPCモチーフの立体構造決定に着手した。p67phoxのPB1ドメインが独立した構造を持つことを確認したが、溶解度に問題を残すため、酵母の分極に関与するBemlpのPB1とCdc24のPCモチーフ(住本・伊藤らにより見出された)について構造決定を行い、phox系にはその結果をもとに取り組むこととした。現在Bemlp PB1の立体構造決定とPCモチーフの結合部位の同定を終了し、論文を作成中である。Bemlp PB1は2本のαヘリックスと2枚のβシ一トから成っている。分子表面にはリジンクラスターが存在し、その面においてPCモチーフと結合していることがわかった。
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