1998 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌ATP合成酵素:γサブユニット変異酵素を用いたエネルギー共役機構の解明
Project/Area Number |
10780379
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木原 昌子 (岩本 昌子) 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (70252715)
|
Keywords | ATP合成酵素 / F_0F_1 / γサブユニット / 分子集合 |
Research Abstract |
本研究では,ATP合成酵素(FoF_1-ATPase)におけるH^+輸送と触媒反応との間のエネルギー共役機構の解明を目的として,γサブユニットとβサブユニットの相互作用部位について検討した.すべての部位特異的な変異はFoF_1遺伝子の全領域を含む組み換えプラスミドに導入し,変異酵素は本酵素遺伝子を持たない大腸菌DK8株で発現させた.γサブユニットのγGln-269を19種類のアミノ酸に置換すると,膜画分のATPase活性は,LyS変異が野生型と同じだったのを除いて様々な程度に低下していた.以前に報告した変異酵素γQ269Eと同様,γQ269DでもATPase活性が野生型の10-20%は残っていたが,γQ269EおよびγQ269Dの変異F_1を膜から可溶化するとサブユニットが解離した.γGln-269は,酵素活性に必須ではないが,F_1の分子集合に関与していると考えられた.ミトコンドリアF_1のX線結晶解析より,γGln-269はβサブユニットのβAsp-302およびβThr-304と水素結合していると考えられることから,これらのアミノ酸残基を含む保存されたループ領域(β_<301>DDLTD_<305>)に変異導入した.βAsp-302およびβAsp-305を,側鎖がわずかに大きいGluに置換すると,γQ269EおよびγQ269D変異酵素と同様に,F_1の安定性が低下した.安定性に関するMgCl_2およびKClの効果もγサブユニット変異酵素の場合と同様であり,γGln-269とβサブユニットのループ領域の相互作用は,α_3β_3γ複合体の分子集合に重要であることが示唆された.以上の成果はArch.Biochem.Biophysに報告した.
|
Research Products
(1 results)