1998 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトSpt4 & Spt5複合体による転写制御機構
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10780381
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
和田 忠士 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (60262309)
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Keywords | 転写制御 / 転写伸長反応 / 阻害剤 / 転写伸長因子 / DSIF / 欠失変異体 / ドミナントネガティブ / P-TEFb |
Research Abstract |
蛋白質キナーゼの阻害剤として知られるDRB(5,6-dichloro-1-β-D-ribofuranosylbenzimidazole)は、mRNAの合成を司るRNAギリメラーゼII(poIII)の転写反応を特異的に阻害することが知られていたが、その阻害機構の分子レベルでの理解はなされていなかった。私のこれまでのDRBの転写阻害機構の解析から、poIIIの転写伸長反応を抑制するDSIF(ヒトSpt4&Spt5)と、アイオワ大学のD.Price博士の研究により伸長反応を促進するP-TEFbが同定されていた。本年度の研究により、私はP-TEFbがpoIIIの最大サブユニットのC-terminal domain(CTD)をリン酸化するとDSIFとpoIIIの結合が阻害され、その結果DSIFによるpoIIIの転写阻害が解除されることを発見した。よって、このことは今まで不明であったDRBの転写阻害機構の分子レベルでの解明がなされたことを意味する。さらに、DSIFのサブユニットの1つであるDSIFp160(ヒトSpt5)の欠失変異体を用いた解析から、1)ヒトSpt5とヒトSpt4の結合ドメインを明らかにした、2)ヒトSpt5とpoIIIとの結合ドメインを明らかにした、3)転写反応にDRB感受性を賦与する(DSIF活性)のに必要なヒトSpt5のドメインを明らかにした、4)DSIF活性を失ったヒトSpt5の変異体はinvitroおよびin vivoでドミナントネガティブ変異体として作用することを発見した。以上の結果より、ヒトSpt5とヒトSpt4複合体による転写制御機構の解明は、新たな転写伸長反応の制御段階の存在を明らかにしたといえる。
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[Publications] Y.Yamaguchi,T.Wada,他4名: "Structure and function of the human transcription elongetion factor DSIF." J.Biol.Chem.(印刷中). (1999)
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[Publications] T.Wada,T.Takagi,他3名: "Evidence that P-TEFb alleviates the negative effect of DSIF on RNA polymerase II-dependent transcription in vitro." EMBO J.17巻24号. 7395-7403 (1998)
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[Publications] Y.Yamaguchi,T.Wada,他4名: "Casein kinase II interacts with bZIP domains of sevral transcription factors" Nucleic Acids Res.26巻16号. 3854-3861 (1998)