1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10780402
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
八木 俊樹 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (40292833)
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Keywords | 鞭毛 / ダイニン / 微小管 / ATP / 光ピンセット |
Research Abstract |
鞭毛運動の基礎は,ATPの加水分解を伴うダイニンによる微小管の滑り運動である.この滑り運動が時間的・空間的に制御されて規則正しい屈曲運動が生じるが,その制御機構はまだわかっていない.最近,ダイニンには振動子としての性質があるらしいという実験結果を得た.これはダイニン自身に滑り運動を制御する機構がある可能性を示唆する.本研究では,クラミドモナス鞭毛軸糸から単離・精製したダイニンと微小管だけの単純な系においてダイニンの振動運動を観察し,その性質を調べることを試みている.ダイニン・微小管相互作用を調べる実験には,当初,ガラス微小針を用いる計画であったが,ここでは操作がより簡単な光ピンセット顕微鏡を用いることにした.ダイニンを付着させた直径1μmのビーズをレーザー光ピンセットにより補足し,ガラス上に固定した蛍光は微小管とATP存在下に相互作用させる.ダイニンと微小管の相互作用を反映するビーズの運動は4分割フォトダイオードを用いた光センサーにより2次元でモニターする.光ピンセットの補足力を調整して,ダイニンの出す力とピンセットの補足力を拮抗させるとき,振動運動が観察されるものと予想している.本年度は,光ピンセット顕微鏡を組み立てた.光学定盤の上に光学部品を配置し,対物レンズの焦点の位置にレーザー光が集光するようにしてビーズを補足した.そして,光センサーを顕微鏡の後焦点面に取り付けてビーズの動きを計測した.現在,光ピンセットの機械的な安定性をテストしている.クラミドモナスの鞭毛には十数種類のダイニン分子種が存在するので、今後は,それら個々の性質を調べる予定である.
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