1998 Fiscal Year Annual Research Report
RNA酵素からRNA-ポリペプチド複合体酵素への人工的進化
Project/Area Number |
10780416
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
原田 和雄 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (00301169)
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Keywords | RNAワールド / RNA-タンパク質ワールド / RNA酵素 / DNA酵素 / in vitro selection |
Research Abstract |
生物進化初期には、RNAを主体とする生命体がまず存在したとするRNAワールド仮説が広く受け入れられている。RNAワールドの現在のDNA/タンパク質ワールドへの変遷にあたって、まずRNA/タンパク質ワールドを経たと考えられる。本研究では、この過程を実験的に再現する意味で、RNA酵素をRNA-タンパク質複合体酵素に人工的に改変することを目的としている。これは、RNA酵素に変異を導入し、特定のアミノ酸やポリペプチド存在下で、1)より高い活性、2)co-factorへの依存性、3)新規活性などを示すRNA-ポリペプチド複合体酵素を選択することによって行う。 出発点となるRNA酵素は、ハンマーヘッド・ライボザイム、および、類似した反応を触媒するDNA酵素を用いる。RNAおよびDNA酵素に変異を導入するにあたって、活性部位を「ランダム化」する手法、および、「ドーピング」する方法があるが、まず、DNA酵素を「ランダム化」するアプローチをすることにした。実験系は、特定の位置にリボースをひとつもつDNA基質とこれに相補的に結合するランダム化したDNA酵素からなる。基質と酵素が相補的な塩基対によって形成する複合体は、基質の末端のビオチンを介して固定してある。唯一のRNA様リン酸ジエステルでの切断により、DNA酵素が固定相からはずれ、数少ない活性なDNA配列だけをPCRにより増幅できる。現在、人工的進化に用いるタンパ合ク質因子は、アミノ酸のひとつであるアルギニンをモデルとして選んで進化実験を行っている。
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