1998 Fiscal Year Annual Research Report
ジーンノックアウト法を用いたニワトリヒストンデアセチラーゼの機能解析
Project/Area Number |
10780424
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
高見 恭成 宮崎医科大学, 医学部, 講師 (80236356)
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Keywords | ヒストン / アセチル化 |
Research Abstract |
クロマチン構造変化を介したDNAの機能発現調節にコアヒストンのアセチル化が関与する。我々はニワトリから3種のヒストンデアセチラーゼchHDAC-1,2,3をクローニングし、遺伝学的解析が比較的容易なニワトリBリンパ細胞株DT40を用いて、各chHDAC欠失変異株を作成することにより、これらの機能解析を試みている。 chHDAC-2欠損DT40変異株において,これまで以下に示す知見を得た。 1) 本変異株の細胞内においてIgMの軽鎖および重鎖の量が親株の10倍程度に増大している。また,培地中の分泌型IgMも2-3倍に増加している。 2) 細胞膜上に発現している膜型IgMは減少している。 3) 膜型IgM重鎖のmRNA量が親株の約30%減少している。一方,分泌型IgM重鎖mRNA量は約8倍に増加している。IgM重鎖のmRNAの総量は約2.5倍になっている。 4) HDACの阻害剤であるトリコスタチンAでDT40株を処理することによって、IgM重鎖の総mRNAレベルの上昇,分泌型IgM重鎖mRNA量の増加および膜型IgM重鎖mRNA量の減少を引き起こすことができる。 上記の事実から,chHDAC-2がBリンパ球におけるIgM重鎖遺伝子の転写促進とIgMの膜型mRNAから分泌型mRNAへのスイッチングに深く関与していることが示された。 chHDAC-3については以下に示す知見を得た。 1)chHDAC-3は細胞増殖に必須である。 2)この機能はHDAC-1やHDAC-2によってcomlementすることは出来ない。 3)chHDAC-3に固有の機能領域はN末端側とC末端側の各々約150残基中に存在する。
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[Publications] Nakayama, T.and Takami, Y.: "Systematic analysis of the nature of histone genes in the chicken DT40 B cell line using gene targeting techniques" Trend in Comparative Biochem. & physiol.4. 211-217 (1998)