1998 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチンDNAにおける相同的組換え機構に関する研究
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10780433
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
胡桃坂 仁志 理化学研究所, 細胞情報伝達研究室, 研究員 (80300870)
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Keywords | Rad51 / Rad52 / 相同組換え / DNA修復 / クロマチン / NMR / 高次構造解析 / DNA結合 |
Research Abstract |
真核生物においてRad51は、体細胞分裂期のDNA組換え修復および減数分裂期の遺伝的組換えで中心的な役割を果たす。このタンパク質は、その原核生物ホモログであるRecAと同様に、単鎖DNAと二重鎖DNAとを対合させる、いわゆる相同的対合反応を行う。その際、RecAとは異なり、Rad51は補因子を要求することが知られており、このRad51と補因子との相互作用が、真核生物特有のクロマチン構造におけるDNA組換えに重要であると考えられている。今回、ヒトRad51とその補因子の一つであるヒトRad52との相互作用を解析した。ヒトRad52は、ヒトRad51と直接相互作用し、Rad51の相同的対合活性を相乗的に上昇することが知られている。しかし、ヒトRad51のRad52結合部位は報告されていない。そこで、すでに報告されている、出芽酵母Rad51のRad52結合領域に相当するヒトRad51領域の欠失変異体(1番から114番アミノ酸の領域)を作製して精製し、そのRad52との結合を解析した。その結果、出芽酵母Rad51とは異なり、ヒトRad51はこの領域ではRad52と相互作用しないことが分かった。加えて、ヒトRad51のこの領域の高次構造をNMR法により決定し、この領域がヒトRad51のDNA結合活性に必須であることを示した。次に、ヒトRad51のRad52結合領域を調べる目的で、PCRランダム変異導入法によって無作為に点変異ヒトRad51を作製した。その結果、ヒトRad51のC末領域のPhe259、Val273、Phe279、Ile287そしてArg299に点変異が導入されると、Rad52との相互作用が著しく、もしくは中程度損なわれることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Alan P.Wolffe, Hitoshi Kurumizaka: "The Nucleosome : A Powerful regulator of franscription" Progress in Nucleic Acid Reseach and Molecular Biology. 61. 379-422 (1998)
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[Publications] 白水美香子、胡桃坂仁志、横山茂之: "現代医学の基礎,分子・細胞の生物学1-遺伝子とタンパク質、第10章" 岩波書店, 267 (1998)