1998 Fiscal Year Annual Research Report
分泌型タンパク質の膜透過効率を制御する新たな細胞因子
Project/Area Number |
10780441
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 博幸 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (10243271)
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Keywords | タンパク質膜透過 / SecY / SecA / ATPase / SecG |
Research Abstract |
大腸菌においては、前駆体タンパク質の細胞質からペリプラズム空間への膜透過には、3種の膜内在性タンパク質SecYEGからなる膜透過チャンネルと、膜透過の駆動力を供給するSecAが中心的な役割を担っている。精製sec因子を用いた再構成実験から、SecAYEGのみによりin vitroで膜透過反応が再構成出来る事が示されたが、その速度、効率はin vivoに比べるとがなり低いものであり、その膜透過効率を制御促進している因子が存在している可能性が示唆されている。本研究ではそのような膜透過効率を制御する新規因子の同定とその機能の解析を目的としている。研究代表者は、低濃度のATPのみを唯一のエネルギーとした条件で、そのin vitro膜透過効率を、高濃度ATP存在下で観察される値近くまで回復させる因子が細胞質中に存在する事を見いだした。さらにin vitroでの膜透過促進活性を指標に精製を進め、その因子を同定した結果、この活性促進には、RNAの分解に関与するRNAseIIとRNA成分の両者が関与している事を明らかにした。加えて、RNaseIIと有意な相同性を持つVacBタンパク質も同様の促進活性を持つ事も明らかにした。更なる解析の結果から、RNaseII(あるいはVacB)とRNA分子による膜透過の促進の効果は、RNaseIIの働きによって生成したAMP分子が、アッセイ溶液中に混在していたアデニレートキナーゼにより最終的にATPに変換され、最終的にATP濃度が上昇した結果観察されたものである事が解った。このような膜透過におけるエネルギー利用の研究を進めている過程で、膜透過チャンネルの構成因子であるSecGの役割が、SecAの膜透過促進機能を助け、ATPを効率よく利用してタンパク質の動きを駆動する事にあることを明らかにした。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Matsumoto,G.,Mori,H.and Ito,K.: "Roles of SecG in ATP- and SecA-dependent protein translocation." Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 95. 13567-13572 (1998)
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[Publications] Matsuo,E.,Mori,H.,Shimoike,T.and Ito,K.: "Syd,a SecY-interacting protein,excludes SecA from the SecYE complex with an altered SecY24 subunit." J.Biol.Chem.273. 18835-18840 (1998)
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[Publications] Mori,H.,Sugiyama,H.,Yamanaka,M.,Sato,K.,Tagaya,M.and Mizushima,S.: "Amino-terminal region of SecA is involved in the function SecG for protein translocation into Escherichia coli mimbrane vesicles" J.Biochem.124. 122-129 (1998)
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[Publications] Akiyama,Y.,Kihara,A.,Mori,H.,Ogura,T.and Ito,K.: "Roles of the periplasmic domain of Escherichia coli FtsH(HflB)in protein interactions and activity modulation." J.Biol.Chem.273. 22326-22333 (1998)