1999 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体局在PDIファミリー蛋白質のBPTI refolding活性に与える影響
Project/Area Number |
10780452
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
佐藤 衛 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 形態学部, 研究員 (70291177)
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Keywords | 小胞体局在 / PDIファミリー蛋白質 / PDI(protein disulfide isomerase) / ERp72 / ERp61 / ジスルフィド結合 / チオレドキシン領域 |
Research Abstract |
平成10〜11年におこなった研究より、ERp61とERp72は、PDIと同様にBPTIのrefolding反応を促進させること、ERp61とERp72はPDIよりも早く一部の還元型BPTIを成熟型へとrefo1dingさせるにも関わらず・反応720分後でもrefolding中間体が残存していることが判った。この原因を探るべく、二つのrefolding中間体N'(Cys30-Cys51、Cys14-Cys38に二つのジスルフィド結合を持つ)とN^*(Cys5-Cys55、Cys14-Cys38に二つのジスルフィド結合を持つ)を用いて解析したところ、ERp61とERp72は、N'から成熟型への反応は促進できるが、N^*から成熟型への反応は、ほとんど促進できないことがわかった。BPTI refoldingにおける各PDIファミリー蛋白質のチオレドキシン領域の作用の違いを解析するため、PDI、ERp72、ERp61の各チオレドキシン領域のシステイン残基のセリン残基への置換を試みた。ERp72はPDIやERp61と異なり3箇所のチオレドキシン領域を持つが、各領域が蛋白質のS-S結合形成/異性化にどのように関与しているかについては不明である。正常型と3箇所のアミノ酸置換と組み合わせによる変異型の計8種類のERp72にヒスチジンタッグを付加し大腸菌で発現させた。Ni-NTAカラムでのアフィニティー精製、resource Qカラムでのリクロマトグラフィーをおこない、SDS-PAGE・CBB染色で確認したところ、ほぼ単一バンドとして精製することができた。3箇所すべてのチオレドキシン領域のシステイン残基を置換した変異体では、インスリン還元活性はバックグラウンドレベルにまで活性が低下した。次に、N末端に最も近いチオレドキシン領域(ドメイン1)の変異型では、Vmaxが約1/2の活性にまで低下した。さらに中央のチオレドキシン領域(ドメイン2)の変異型では、Vmaxが約1/2の活性に低下した。しかしC末端に最も近いチオレドキシン領域(ドメイン3)を置換した変異体ではほとんどVmaxには影響がなかった。以上の結果より、インスリン還元反応にはERp72に存在する3カ所のチオレドキシン領域のうち、ドメイン1とドメイン2S-S結合形成/異性化に寄与しているが、ドメイン3はほとんど作用していないことが判った。
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