1999 Fiscal Year Annual Research Report
ジーントラップライブラリーを用いた維管束細胞の分化に関与する遺伝子変異体の分離
Project/Area Number |
10780458
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉岡 泰 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60202397)
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Keywords | ジーントラップ / シロイヌナズナ / 維管束組織 |
Research Abstract |
染色体DNA上にレポーター遺伝子としてのβーグルクロニダーゼ(GUS)をもつ16,000系統分の形質転換シロイヌナズナの種子を作製し、973系統について播種後約2週間目の植物体全体をGUS染色した。その結果、子葉、本葉、根の先端、托葉などの植物体のいずれかの場所でGUS活性が検出された系統が20系統得られた。これら20系統の中で、維管束で特に強いGUS活性が検出された系統が1系統得られた。E10と名付けたこの系統におけるGUS活性は、最初の本葉が展開し始める頃から胚軸、子葉葉柄、根の維管束で検出され始め、その後、子葉、本葉葉脈の維管束で特に強いGUS活性が検出された。抽苔後では茎生葉の葉脈、花弁とがく全体、柱頭、トリコームにおいてGUS活性が検出された。トラップされた遺伝子をホモに持つ個体において、葉の組織切片を作製して光学顕微鏡によって維管束を観察したが野生型と比べて形態的な異常は見られなかった。遺伝子クローニングの結果、E10系統においてトラップされている遺伝子は、シロイヌナズナのリジン感受性のアスパラギン酸キナーゼの一つと87%のアミノ酸の類似性を示すタンパク質をコードしており、これからE10系統においてはリジン感受性アスパラギン酸キナーゼがトラップされていると考えられた。シロイヌナズナではE10系統から得られた物以外に、すでに2種類のリジン感受性アスパラギン酸キナーゼ遺伝子が報告されており、E10系統においてトラップされた遺伝子をホモに持つ個体で目に見える形態的な異常が表れなかったのは遺伝子がredundantであったためと考えられた。
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Research Products
(1 results)