1998 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経特異的ミトコンドリア輸送蛋白の同定と機能解析
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10780472
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
佐藤 康二 愛媛大学, 医学部, 助教授 (80235340)
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Keywords | ミトコンドリア / トランスポーター / 中枢神経系 |
Research Abstract |
我々は、既知のミトコンドリアトランスポーターのアミノ酸配列をもとにdegenerativeoligo probeを作製し、ラット脳ライブラリーを常法によってホモロジースクリーニングし、新規ミトコンドリアトランスポーターの遺伝子を得た。シークエンスの結果、既知のtricarboxylate transporterと相同性を有する膜6回貫通型の膜タンパクであることが明らかとなった。次に遺伝子発現を検討するために、northern blot法を施行した。ラットでは、脳以外の組織では遺伝子発現を認めず中枢神経系特異的に発現していることが明らかとなった。また、in situ hybridization法においても、ラット脳全体に幅広く発現が見られ、一般的に神経細胞が強く発現していた。海馬においてもCA1-3領域の錐体神経細胞及び、Denate gyrusの顆粒細胞に強く発現していた。また大脳皮質においても小型から中型の神経細胞に豊富に発現していた。以上のことから、中枢神経系特異的に、しかも神経細胞特異的に働いているミトコンドリアトランスポーターであることが示唆された。現在、新規ミトコンドリアトランスポーターを培養細胞あるいは大腸菌に発現させ膜輸送を検出できる系を確立中であり、この系を利用して特異的基質、阻害剤を同定するを目指す。また、決定されたアミノ酸配列をもとに合成ペプチドを作製し現在抗体を作成しており、近い将来、免疫組織化学法、及び免疫電顕法により、脳内の分布、細胞内の局在が明らかする予定である。今後も 積極的に実験を行い、生体のなかでの本トランスポーターの役割を明らかにしていきたい。
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