1998 Fiscal Year Annual Research Report
終神経のゴナドトロピン放出ホルモン細胞への感覚入力
Project/Area Number |
10780474
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
山本 直之 日本医科大学, 医学部, 助手 (80256974)
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Keywords | 終神経 / GnRH / ゴナドトロピン放出ホルモン / 中脳被蓋 / 硬骨魚類 / ティラピア |
Research Abstract |
平成10年度に行った研究によって以下の成果が得られた。 1.バイオサイチンを終神経のゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)細胞の近傍に注入したところ、終脳背側部の一部、終脳腹側部、中脳被蓋に逆行性に標識された細胞が見られた。逆行性標識細胞の見られた終脳の領域は、いずれも2次嗅覚性投射が終末することが報告されている部位であった。中脳被蓋の細胞についてはこれまで研究がなされていないため、これらの細胞についてさらに調べた(以下)。 2.中脳被蓋にバイオサイチンを注入すると、終神経GnRH細胞の近傍に多数の終末が観察され、中脳被蓋から終神経GnRH細胞への投射が確認された。逆行性の標識細胞は視床の腹内側核、視蓋前域、三叉神経感覚核、延髄の網様体などに見られた。これらの核から中脳被蓋を経由して終神経GnRH細胞に一般体性感覚あるいは視覚性情報が送られる可能性がある。 3.上記の2つの実験結果を総合して考えると、終神経GnRH細胞群には嗅覚、一般体性感覚、視覚が送られている可能性がある。中脳被蓋には様々な線維束が通過しているために、2の実験で逆行性標識細胞が見られた領域からの投射については可能であればさらに確認実験を行う必要がある。 現在、中脳被蓋から終神経GnRH細胞への投射の微細構造を研究するための第一ステップとして、無処置の脳を用いた電子顕微鏡観察を準備中である。この実験で得られた情報をもとに、トレーサー実験と組み合わせた電子顕微鏡観察も平成11年度に行う予定である。
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