1998 Fiscal Year Annual Research Report
グルタミン酸受容体遺伝子の特異的発現制御を司るシスエレメントの同定
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10780487
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute for Neuroscience |
Principal Investigator |
岡戸 晴生 東京都神経科学総合研究所, 病態神経生理学研究部門, 主任研究員 (60221842)
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Keywords | トランスジェニックマウス / グルタミン酸受容体 / シスエレメント |
Research Abstract |
様々な病態でGluRの発現が変動することが知られており、この変動が症状形成に関与している可能性がある。したがって、病態機溝の解明のためにGluR1,2遺伝子の転写制御機構の解析は重要であると考えられる。 GluR1遺伝子の上流3kbpのコンストラクトについては、5系統のマウスが得られ、脳での発現を解析した。T196は発現が観察されなかった。T199は海馬CAI-3、海馬台、MHb、視床、T201は主に大脳皮質体性感覚野、T206は小脳顆粒細胞、血管、中隔野、MHbに発現を認めた。T205については海馬、大脳皮質、上丘、小脳顆粒細胞で発現を認めた。 数年前に同じコンストラクトで作製した3系統のうち、S77は大脳皮質体性感覚野に発現するというT201と非常に類似した発現パターンを示した。このことは、GluR1遺伝子の上流3kbpのコンストラクトは大脳皮質体性感覚野で機能する特徴をもっていることを示唆している。 GluR2遺伝子については、6系統のマウスが得られた。Nl69は、海馬の歯状回、小脳顆粒細胞で強い発現があり、大脳皮質、海馬CAI-3で弱い発現を認めた。その他では発現が認められなかった。 上述おように、GluR2遺伝子6kbpは、内在性のパターンを再現するのに不十分であるので、第一イントロンを含む7kbpのコンストラクトを作製し、8系統のトランスジェニックマウスを作製した。Tl59は発現が認められなかったが、その他の系統では海馬において発現を認めた。O49,T149,T150の3系統で、海馬、大脳皮質、小脳プルキンエ細胞で発現を認めた。O14では、海馬とプルキンエ細胞、O33、T160、T162では海馬と大脳皮質で発現を認めた。以上のことから、イントロンを含む領域を付加したことで、内在性のパターンを再現できることが明らかとなった。
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