1998 Fiscal Year Annual Research Report
脳内投与された神経栄養因子が脳機能、脳代謝に及ぼす効果の解明
Project/Area Number |
10780492
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
小林 聡 群馬大学, 医学部, 助手 (00265779)
|
Keywords | GDNF / パーキンソン病 / 脳室内投与 / 線条体 / 黒質 |
Research Abstract |
Sprague-Dawley系ラット(200〜220g)の右側脳室内あるいは右線状体に、recombinant human GDNF 10μg(in2.5μl 10mM PBS)を1回注入法にて投与し、1、3、7、12日後に運動量の変化を定量的に測定した。また、注入されたGDNFの分布の経時的変化を、GDNFに対する抗体を用いて、免疫組織学的に検討した。 線条体投与群においては、注入後1日目、有意の運動量増加がすでに認められた。この運動量の増加は、線条体投与後3日目に最も著しく、コントロール群の約2倍程度であった。線条体投与後7〜12日目に、この運動量増加は消失した。一方、脳室内投与群においては、投与後1〜12日の間に、運動量の有意の変化はみられなかった。 抗GDNF抗体を用いた免疫組織学的検索では、線条体に投与されたGDNFは、24時間以内に速やかに線条体全体に広がることが確認された。GDNFの逆行性輸送によると考えられる同側黒質のGDNF陽性細胞は、線条体投与後6時間の時点で、最も多く認められた。一方、脳室内に投与されたGDNFもまた、24時間以内に速やかに脳内に広がることが確認された。しかし、同側黒質のGDNF陽性細胞は、極めて少数認められたのみであった。 線条体に投与されたGDNFは、数時間のうちに同側黒質に逆行性輸送され、黒質線条体系に対し効果を及ぼし、短時間のうちに運動量を増加させたと考えられる。これらの効果は約1週間持続し、線条体投与はパーキンソン病患者に対するGDNFの有効な投与方法になりうると考えられた。一方、脳室内投与では、効果は少ないと考えられた。
|