1998 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス前細胞と後細胞の同時記録による皮質抑制性シナプスの可塑性の研究
Project/Area Number |
10780508
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岩本 由美子 (吉村 由美子) 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (10291907)
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Keywords | 1次視覚野 / 抑制性ニューロン / IPSC / シナプス可塑性 / ホールセル・パッチクランプ法 / ラット |
Research Abstract |
大脳皮質の抑制性ニューロンは細胞体樹状突起の形態、軸索投射様式、免疫組織学的性質、発火パターンの相違により複数の種類に分類される。したがって、抑制性シナプスの伝達機構やその可塑性を詳細に研究するためには、抑制性ニューロンの種類を特定して、その細胞と標的細胞を同時に記録解析する必要がある。そのような研究は技術的に非常に困難であるが、今年度はその方法を確立した。発達期のラット1次視覚野の薄切切片標本を作成し、近赤外線照明とCCDカメラを備えた顕微鏡で切片上のニューロンを観察した。まず錐体細胞を同定し、その細胞からホールセル・パッチクランプ法を用いて膜電位応答を記録した。錐体細胞の近傍にあり形態的に抑制性ニューロンであると思われる単一の細胞を細胞外刺激し、記録している錐体細胞に抑制性シナプス後電流(IPSC)が出現するかを観察した。IPSCが見られない場合、そのニューロン対はシナプス結合を形成していないと思われるので、別の抑制性ニューロンを刺激し、シナプス結合しているニューロン対をさがした。IPSCが出現した場合はその抑制性ニューロンからも同時にホールセル・パッチクランプ法をもちいて細胞内記録した。抑制性ニューロンに脱分極通電し活動電位を発生させ、それによって錐体細胞にIPSCが生じることを確認した。また同時記録している2つの細胞のそれぞれの発火パタンを観察し、電気生理学的性質を調べた。以上の方法により抑制性シナプス結合を形成しているシナプス対を効率よく見いだす方法を確立した。
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